水中考古学の聖地「鷹島海底遺跡」/松浦
元寇遺物発掘で歴史を眼前に
元寇の海底遺跡の発掘で注目が高まっているのが水中考古学だ。鷹島海底遺跡という水中遺跡を1980年の調査開始以来、40年超にわたり調査を継続している松浦市はその“聖地”。
海底遺跡から多くの遺物を発掘し元寇の謎を解き明かしてきたが、その中心にいるのが市教育委員会文化財課職員。潜水士の資格を持ち、鷹島と元寇の歴史をひもとくことで松浦を水中考古学の聖地として定着させることを先導してきた。
2022年には発見から10年越しに元軍の船の木製のいかり、碇石を水深20㍍から同課の職員を中心に作業し引き揚げに成功。クラウドファンディングも活用し、約750年前の歴史を現代の世に現出させた。市や研究者、そして支援者ら一丸で水中考古学の力を世に知らしめた。
引き揚げ後の保存や調査、そして世に伝える取り組みは松浦市立埋蔵文化財センターが役割を担う。鷹島海底遺跡で発見された貴重な元寇遺物を展示し、今回の「一石型木製いかり」も保存処理中。人が木を削った跡も残るほど状態がいい。]
展示は体験性を重視。海底で撮影された3D画像をもとに作成された鷹島2号沈没船の立体模型も設置されている。館内のVRでは元軍の船の全体像をCGで立体的に確認することができる。細部にわたり再現された元寇船に乗ってコントローラーを操作して甲板の上を移動したり「てつはう的当てゲーム」も楽しめる。フビライが元の象徴としてチベットの学僧に作らせたパスパ文字を用いた「管軍総把印」や元軍の兵士が使っていたベルトの金具、フック、コイン型のお守りなど興味深い遺物も。冑や矛、刀、てつはうなどの復元模型に触れられる。
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