平和学習と“生きた学び”―広島県呉市(1) 旅の価値はリアリティにあり―艦船見学のクルーズも
広島県南西部に位置する広島県呉市。現代に受け継がれる海軍のまちという歴史、瀬戸内海に面する豊かな自然をベースにしたアクティビティ・産業と、地域に根付く風土全体で個性的な観光の魅力を体現している。それは平和学習、体験学習といった修学・学習旅行、合宿を受け入れるのに十分な実力を兼ね備えていると言い換えてもいい。平和学習のメッカ・広島市からほど近い呉で"生きた学び"を―。
海軍のまちを知る 大和ミュージアム・てつのくじら館・海上自衛隊呉地方隊
呉市で体験する修学旅行のテーマの中心は、平和学習。海軍のまちとして栄えてきた歴史は地域の風土として根付き、ゆかりのスポットが点在。まちをめぐれば深く平和を学ぶことにつながる。平和学習のメッカ・広島市からも30分弱という立地で、平和祈念公園から呉へという重厚な学びのルートができあがる。
呉は明治22年、海軍の拠点である呉鎮守府が開庁。呉海軍工廠が設けられ、世に名高い戦艦「大和」が建造されるなど日本を代表する軍港として栄えた。戦後は造船をはじめとする臨海工業都市として平和産業に地域一体で取り組んでいる。
呉の平和学習のキーワードは“リアル”だ。呉市海事歴史科学館「大和ミュージアム」には10分の1の大きさの戦艦「大和」やゼロ戦の実機などを展示。「大和」のスケールは縮小サイズにも関わらず、その大きさ、造船技術の高さに驚嘆するだろう。これらを通して平和とは何かをリアルに学ぶことができる。
なお、同館はリニューアル工事中のため、2026年3月末まで休館中。ビューポートくれに「大和ミュージアムサテライト」を代替施設として設置している。
大和ミュージアム正面には海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」。その名を感じさせる巨大な本物の潜水艦「あきしお」が出迎え。内部を見学でき、操舵席に座ったり潜望鏡をのぞくなど艦内の生活を体験できる。海上自衛隊の活動や掃海艇などについても紹介しており、現代の平和活動の一端に触れられる。

くじらのような潜水艦あきしお
呉市では教育旅行限定で海上自衛隊呉地方隊の見学プランを設定。旧呉鎮守府庁舎である海上自衛隊呉地方総監部第一庁舎や総監部内にある明治―大正期建造のれんが建物群、呉鎮守府の地下施設を見学するプランと、海上自衛隊呉基地に停泊する艦艇を見学できるプランの2種を用意している。呉市観光振興課☎0823―25―3309。
そのほか、呉港から出港して停泊する艦船を間近で眺められる「呉湾艦船めぐり」でクルージングしながら迫力を感じるのもいい。1便は10時から日の入り15分前までの最終便まで6本が運航されているが、呉森沢ホテルに依頼すると特別便として9時からの便も可能。料金は大人1700円。15人以上の学生団体は中・高校生1500円、小学生450円。

呉湾艦船めぐりで迫力ある自衛艦を間近で見られる
このほか旧呉鎮守府司令長官官舎をはじめ呉の歴史を学べる入船山記念館、明治期の海軍の軍人の埋葬地として整備された長迫公園なども点在している。
呉は「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」として日本遺産にも認定。遺産の構成文化財となっている地も多く、これらをたどり、海軍のまち・呉の歴史に深く触れたい。
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