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日田観光の現状と近未来を聞く 椋野美智子市長

2023年8月、第10代日田市長に就任した椋野美智子市長。就任から1年を経た椋野市長に日田観光の現状や考えを聞いた。

交流を大事にする“日田人”が誇り

―日田市を訪れる観光客数と、椋野市長が感じる日田市の魅力を教えてください。

2023年のデータでは日帰り客約237万人、宿泊客約38万人の約275万人の方々にお越しいただいています。

日田の魅力に関しては江戸時代に天領として町人文化が栄え、今でも豆田町という伝統の町並みが残っていることが挙げられます。全国の天領で江戸幕府直轄の郡代が置かれたのは飛騨高山、美濃、日田の3カ所だけです。このことからみても日田がいかに九州の拠点として重要視されていたかがわかります。その痕跡を現在も見て楽しめるというのは、日田で最も誇れる素材といえると思います。

もう一つは「水郷日田」として豊かな水に恵まれ、野菜や果樹、米など農産物が豊富だということですね。

そういった元々恵まれた環境に加えて1940年、2005年に周辺町村と合併し、さらに魅力アップした日田市になりました。05年の合併では豊後三大温泉のひとつである天ヶ瀬温泉などの温泉地が加わって、日田温泉と併せてアピールしているところです。

椋野美智子市長

椋野美智子市長

―天領日田としては知っているが、温泉というイメージがあまりない、という声を旅行会社からよく聞きます。その点についてはどのようにお考えでしょうか。

三隈川沿いの旅館はすべて温泉で、それぞれの旅館から船宴会ができる屋形船が出て鵜飼を楽しむことができます。

鵜飼を見ながら旅館の料理をそのまま味わえるというのはここにしかありません。これをもっと知ってもらいたいと思います。旅館に泊まって見る三隈川の朝霧は素晴らしいですから、その景観もぜひ楽しんでいただきたいと思います。

―インバウンドについては。

世界大手のOTAブッキング・ドットコムが調査した「アジア太平洋地域の旅行者が注目する最新の旅行先」として、日田市は世界第3位、国内第1位に選ばれました。

世界的な人気漫画「進撃の巨人」の関連施設「進撃の巨人inHITAミュージアムANNEX」が昨年8月にオープンしたことでインバウンド客の増加につながったようですが、それ以前から「進撃の巨人」目当てのインバウンド客は増加傾向でした。

また京都や東京など都会での観光を楽しんだあとに日田を選んでいただけているようです。北部九州の真ん中ですので、九州でどこに行こうかってなった時にも福岡から約1時間ですし、阿蘇や由布院、別府に行ける利便性の効果が出ているのだと思います。

―日田観光の課題は何でしょうか。

他の観光地にはない素材が点在しているのが日田観光の特徴だと思っています。ただ、それをつなぐことが課題であり、どのように発信していくかだと思っています。魅力ある素材をつないで、少しでも滞在時間を長くしていただかないと日田の魅力を伝えることはできません。短時間で日田の魅力は伝わらないからです。

これまでそれぞれの担当課で情報発信をしていましたが、すべてを観光の方で発信するよう集約しました。観光課で発信することで農業や林業以外の分野にも波及効果が及ぶと思っています。

―最後に日田で一番自慢したいことを教えてください。

お祭りと人です。どの祭りも日田にとって欠かすことができないくらい魅力的なものです。日田祗園のときの男性のカッコよさは最高です。

祭り以外でも日田の人たちは輝いています。日田を代表する陶芸である小鹿田焼の素晴らしさはもちろんですが、小鹿田焼の陶工の人たちがまたいいんです。各店の人たちもモノを売ることとともに、訪れた人との交流を非常に大事にされています。人と人との交わりを大事にする日田だからこそ、多くの人が何度もお越しになるのだと思いますし、それを誇りに思っています。

椋野美智子市長

観光物産や「進撃の巨人」グッズなどを前に
日田観光を語る椋野市長

大分県日田市 旅のおすすめサイト

日田市観光協会「おいでひた」【大分県】

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