元寇ゆかりの地をめぐる 松浦市・蒙古襲来終焉の地を歩こう
鷹島沖・神風で沈んだ元軍の船に迫る
長崎県松浦市も元寇の舞台。なかでも歴史的に重要な場所が鷹島沖だ。ここで暴風雨に遭い、4400隻もあった元軍の船の大半が沈み、文永、弘安と2度にわたる蒙古襲来の終焉の地となった。
蒙古襲来は「神風が吹き、元軍の船は海に沈んだ」と知られるが、鷹島沖が舞台と知る人は少ない。この海域は「弘安の役で元軍の船が暴風雨で沈没した地点」として古くから伝えられ、以前から壺や刀、碇石などが引き揚げられてきた。これまでに引き揚げられた遺物は4千点以上にのぼる。
注目を集めるようになったのは1994年、水深約22㍍の海底で碇石が装着されたままの木製の大いかりが発見された。2011年には元軍の船の竜骨と外板が残る船底が発見され15年には2隻目の沈没船が確認されている。12年には元軍の船や遺物が発見された海域が日本の海底遺跡で初めて「鷹島神崎遺跡」として国史跡に指定された。
これまでの発見で、書物や絵でしか知り得なかった当時の様子が明らかに。なかでも元軍の武器、炸裂弾「てつはう」が出土したのは国内でこの遺跡のみ。海底から出土した遺物は冑や鉄刀、壺・碗など。22年10月には元軍の船の1石型木製いかりが引き揚げられ話題を集めた。
松浦市では蒙古襲来の様子を体験してもらおうとアプリ「AR蒙古襲来―甦る元寇船」を開発。市内各所でAR(拡張現実)により当時最大といわれた「元の大船団」が目の前に存在しているかのような体験ができる。
玄界灘に浮かぶ松浦市鷹島には元寇の歴史を伝える史跡も点在。弘安の役で大将・少弐景資が本陣を置いた陣屋跡「龍面庵」、元軍の攻撃をいち早く大宰府へ報告する役目を果たした対馬小太郎の墓なども。遺物を保存している松浦市立埋蔵文化財センターも訪れたい。
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