元寇ゆかりの地をめぐる 壱岐市・最前線で戦いの深淵に迫る
壱岐のヒーローや千人塚 激戦の跡をたどる
他国による侵略戦争ととして日本史に語り継がれる元寇。博多や対馬が激戦地として名が挙がるが、長崎県壱岐市もその舞台。海に浮かぶ島内には蒙古襲来の跡を伝える史跡が今も点在している。元寇第一弾、文永の役から750年を迎える今年、壱岐で元寇の深淵に迫る旅に出かけたい。
壱岐の玄関口、芦辺港にほど近い壱岐神社は、1944年創建という島内でもっとも新しい神社。2度目の蒙古襲来となった弘安の役で活躍した若武者、少弐資時を祀っている。本殿には元寇の際の碇石と伝わるものが展示されているなど、その歴史を伝えている。
壱岐と元寇を語る上で、この少弐資時は欠かせない人物だ。元軍相手に壱岐守護代として奮闘するものの討ち死に。壱岐神社近くの少弐公園の松林の中に資時の墓があり、芦辺港フェリーターミナル前には騎馬武者姿の資時像がたつなど壱岐のために戦ったヒーローを称えている。公園の展望台近くには防人ののろし台や左京鼻沖で発見された弘安の役の碇石、壱岐神社近くには「少弐の千人塚」も。
文永の役に話を戻すと、元軍が上陸した浦海、馬場先、天ケ原の3カ所が壱岐の元寇始まりの地。浦海海岸では浦海神社鳥居前に元軍上陸地を伝える碑が。さらに神社裏には千人塚がある。馬場先では壱岐七社のひとつ聖母宮前に元軍上陸の碑、天ケ原にも「元寇千人塚」の碑があり、島内各所に点在する碑や千人塚に元寇で味わった苦難に思いを馳せる。
浦海を東南へ、島内中央部あたりにある、島民らが隠れるために掘った穴「自徳庵のかくれ穴」などは往時の住民の混乱を伝える貴重な史跡だ。
戦場のひとつ新城古戦場跡には案内板が立ち、犠牲者を埋葬した千人塚が残る。元と戦った壱岐守護代・平景隆が自害した樋詰城跡地と伝わる新城神社には景隆が眠る。
諸外国と近い位置に浮かぶ壱岐は他国の脅威との前線となることが多かった歴史を持つ。人気スポット・猿岩の近くには昭和初期に設置された東洋一とも言われた巨大な戦争遺産「黒崎砲台跡」など歴史を伝える地が点在する。壱岐市立一支国博物館も含めて各地をめぐれば、壱岐の歴史に奥深く迫る旅が完成する。
蒙古襲来750年・長崎県壱岐・松浦 旅のおすすめサイト
ながさき旅ネット 元寇の遺産を巡る【長崎県】
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