田嶋章二町長に聞く「『天草の古都』苓北町の歴史と文化」(2)
歴史を全国にアピール
―苓北が天草の中心だった時代、多くの著名人が関わったと聞きます。
島原・天草一揆の本渡合戦で唐津藩の番代であった三宅藤兵衛が戦死します。三宅藤兵衛は今年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀の孫です。藤兵衛は光秀の娘のガラシャの姉の子どもです。
天草の初代代官で天草の復興に尽力した鈴木重成とその補佐をした実兄の正三和尚。重成は三河足助の出身で、大阪とも縁が深く、長居陸上競技場の隣にある臨南寺は重成の創建した寺で、もともと長居陸上競技場は臨南寺の敷地だったと言われています。
町内にある鎮道寺には幕末に活躍した勝海舟の落書きと宿泊記念碑が残っています。ほかにも幕末の儒学者・頼山陽、富岡での一夜をテーマに「天草灘」を書いた林芙美子、1907年に与謝野鉄幹や北原白秋ら5人が東京から九州・天草に来て「五足の靴」の旅を始めたのも苓北でした。
1974年に「月山」で芥川賞を取った森敦は兄が苓北町になる前の富岡町長で、評論家の吉本隆明の親は苓北町で造船業を営んでおり、苓北町とも縁が深いんです。
―陶磁器の原料の産地でも名高いのが苓北町だとお聞きしています。
天草陶石は品質、産出ともに日本一といっても過言ではありません。今なお数多くの古陶片が残る幻の窯「古内田皿山窯」は日本で2番目に古い窯跡だと言われています。
―これからの苓北町の取り組みついて教えてください。
天草は明治以降、長崎裁判所の管轄から分離して富岡県となり、その後天草県と改称となります。その後も県区域の改正が続きますが、明治6年に行政庁が移転するまで富岡が天草の中心地でした。天草の古都であった歴史や文化を町民、全国にアピールしていきたいと思っています。
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