頼山陽や林芙美子、「五足の靴」 文学散歩も苓北の魅力
20/03/11
「天草洋に泊す」 名作生む風土、今も
苓北町には文学の香りが漂う。町の歴史を紐解く中で、近代の文豪たちがこの地を訪れ、作品を残したことに気づく。キリシタンと天草一揆の歴史と天草灘の景観が交わるこの地固有の風土に魅せられたからだろう。
幕末の儒学者・頼山陽は富岡城下を訪れ、天草灘の夕景に感動して名吟「天草洋に泊す」と詠んだ。今の富岡地区には頼山陽公園が整備され、詩碑がたつ。
大正―昭和初期に活躍した小説家、林芙美子は長崎から海を渡り富岡に宿泊し、富岡のまちを舞台にした「天草灘」を発表。宿泊した岡野屋旅館には宿泊当時の客室が保存されており、自筆の絵や愛用の品などが残る。玄関脇の文学碑には「旅に寝てのびのびとみる枕かな」との句が。
明治40年、東京から長崎を経て富岡にやってきたのは与謝野鉄幹、北原白秋、平野万里、吉井勇、木下杢太郎の5人の詩人。天草西海岸沿いを旅し、大江天主堂のガルニエ神父を訪ね、南蛮文化について話を聞いた。その時の紀行文は「五足の靴」として発表されたほか、木下杢太郎の詩集「天草組」、北原白秋の「邪宗門」などにも記述がある。
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