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世界最上級の陶石でつくる 天草陶磁器、やさしさ感じる純白/苓北

内田皿山焼窯元を訪ねる 「たこ壺」生産がユニーク

苓北町を含む天草西海岸一帯は、「天草陶石」の一大産地。有田焼や波佐見焼の原料となるなど全国の陶石生産量の8割を占める。不純物が少なく世界最上級とされる陶石を使う天草陶磁器は、国の伝統工芸品にも指定されている。苓北町にも窯元があり、その伝統を継承。窯元を訪問すれば好奇心をくすぐり、苓北の旅に深みを与える。

天草陶磁器の歴史は、江戸時代から。江戸初期―中期に天草の各庄屋が村民に磁器や陶器を焼かせて自活させていたことに始まる。以降、発展を続けながら、今も天草の9軒の窯元で伝統が守り続けられている。

不純物が少ないため透明感のある純白に仕上がり、木灰釉の温かみのある作品などやさしさを持つ作風が天草陶磁器の特徴。昨今では現代感覚を取り入れながら、各窯元がオリジナルの作品を生み出している。

その一つ、苓北町の内田皿山焼窯元は、代表の木山健太郎さんの曽祖父が陶石採掘業を始めたことが起源。曽祖父は明治30年、福沢諭吉の門下生だった時、地元天草の陶石を商売にしたらどうかと助言を受けたという。その後、昭和45年に父が窯元を始め、2代目として現在に至る。

内田皿山焼窯元

福沢諭吉に縁がある
内田皿山焼窯元の木山健太郎さん

同窯元では皿やカップ、湯のみ、椀、花瓶などバリエーションに富んだ作品を生産するがユニークなのは「たこ壺」。500円ほどからの価格での生産は陶石業を営む窯元だからなせる業で、陶磁器によるたこ壺の生産量は日本一を誇る。タコ漁で有名な兵庫県明石市などではプラスチック製のたこ壺が主流だが、いずれ自然に戻る陶磁器製の魅力に魅せられ、注文する人が多いそうだ。

店内では陶磁器を販売するほか、陶芸体験教室も実施。コーヒーカップや皿の絵付けが体験できる。一度に30人まで体験可能で、料金は1人650円からで別途送料が必要。電話0969―35―0222まで要予約。旅行会社の利用も多いという。

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