新たな価値を提供し続ける 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会
自ら来訪者を創造する
愛媛県松山市道後地区の旅館関係者や地元企業、住民らでつくる道後温泉誇れるまちづくり推進協議会(宮﨑光彦会長=宝荘ホテル社長)は2022年に設立30年を迎えた。これまでの30年間を総括しながら、今年度から新たに「道後温泉2050ビジョン策定特別委員会」を設けて討議を重ね、24年度には成案をまとめる。50年に向けて「日本最古の温泉地」であるとともに、新しい価値を提供し続けていく。
道後温泉は1988年に瀬戸大橋が開通した効果で、過去最高となる約139万人の宿泊者を記録。一方、バブル崩壊の影響で92年ごろから低迷の兆しが見え始め、従来の団体型・歓楽型温泉地から脱却するため、旅行の個人化を見据えて同協議会は設立された。
会員は、道後温泉旅館協同組合(33組合員)および道後商店街振興組合(60組合員)、市内の個人や企業、金融機関など正会員90会員、地元10町内会や愛媛大学、松山大学などの学識経験者などの特別会員37会員で構成されている。
設立当時は、地域主導による新しいまちづくり組織が日本最古の歴史、豊かな伝統・文化資源を生かしながら、もう一度百年先を見据え、観光と生活環境の調和のとれた、地元の人が誇りを持てる湯の街情緒豊かで魅力ある都市型温泉郷づくりを推進することを目標として掲げていた。
一方、設立時から現在に至るまで、約100年前に建築された道後温泉本館に過度に依存した地域イメージと集客、日本最古の歴史文化を標ぼうしながらも希薄な視認性、コロナ禍からの復興と少子高齢化人口減少社会でのマーケット変化への対応といった課題を抱えている。
同協議会はこれまで、未来を見据えるための様々な取り組みを展開。02年には、現状把握と地域のビジョンを取りまとめた第2次道後グランドデザイン「DO!GO!21~クラシック&モダン・道後をめざして~」を策定したほか、06年には100年後を見据えた長期ビジョン「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言 道後は百年の〝景〟」の制定、07年に道後温泉本館周辺の道路付け替え、17年には「道後温泉別館飛鳥乃温泉」の開設などを行ってきた。
今後は、一部景観の未改善や湯量、労働力確保への対応といった課題に対し、人口減少社会や地域経済の雇用を支えるには、観光文化産業の活性化が鍵だという認識のもと、地域を挙げたホスピタリティマネジメントを強化していく。これからの30年間、同協議会は「地域自らが来訪者を創造する新しい観光まちづくりに挑戦していく」と話す。
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