長崎とのつながり深い苓北 ペーロンなど文化色濃く
長崎市から1時間強 風土に流れる長崎色
苓北町の文化は、熊本県にありながら、隣の長崎県の文化の影響を強く受けている。古くは長崎へ働きに行く人が多かったという地域特性などから地域間交流が盛んで、文化が持ち込まれたと伝わる。地理的な長崎との近さもあり、長崎から熊本への旅の玄関口となるのも当然か。熊本天草×長崎の“ハイブリッド”苓北なくして充実した旅はあり得ない。
苓北へのアクセスは、長崎市からなら、苓北観光汽船の高速船を使えば、長崎市・茂木港から苓北町・富岡港まで45分。長崎市中心部から茂木港までは車で20分なので、1時間強あれば苓北に着ける。
熊本方面からは飛行機で阿蘇くまもと空港から天草空港へ20分、そこからレンタカーを使えば30分だが、熊本市内から車を使うと約2時間半かかることを考えると、ツアーなどで苓北を組み込むなら長崎方面から高速船を使う方が便利だ。揺れが少なく快適な船旅が楽しめるのもいい。
高速船の料金は片道大人2030円、往復3860円。15人以上の団体は1人1830円。乗用車は乗船できないが、富岡港からレンタカーが利用できる。
長崎とのつながりは、文化や郷土芸能においても感じることができる。食や建造物から感じる南蛮文化もだが、もっともわかりやすいのは長崎の夏を代表する伝統行事「ペーロン」。中国から伝わった木造の手漕ぎ舟に乗り、速さを競うものだが、苓北でも古くから行われ続けている。1670年代、今から約350年前に長崎から伝わったとされ、苓北の夏一番のイベント「苓北じゃっと祭」で「天草苓北ペーロン大会」が開かれている。例年、町内外から約30チーム、約1千人が参加して速さを競うという盛大な大会として親しまれている。
天草苓北ペーロン協会では4―10月、ペーロン体験プログラムを実施。修学旅行や企業の研修などの利用を勧めている。料金は1人2500円。
町の西北端、富岡半島の富岡稲荷神社では毎年旧暦の2月、初午の日に行われる「初午大祭」で全長11メートルもの大蛇が演舞する「蛇踊り(じゃおどり)」や「川舟」「コッコデショ」など町ごとに出し物を奉納。これらは「長崎くんち」の流れをくんでおり、ここにも長崎文化の影響を色濃く感じることができる。
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