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市民が誇りを持ち、迎える観光 福元晶三・宍粟市長に聞く

市民が地域に誇りを持ち「ぜひ宍粟に来てほしい」と思ってもらうことが宍粟の観光だと話す福元晶三市長。交流人口を増やし定住人口につなげる構想や、住民の営みを含めた風景街道の構築、発酵文化の掘り起こしなど、宍粟市が描く今後の観光施策などについて考えを聞いた。

自然や文化を次代につなぐ 風景街道と発酵文化を推進

宍粟市は、兵庫県姫路市に隣接し、人口3万4千人、世帯数1万4千で、滋賀県の琵琶湖ほどの面積がありますが、90%を森林が占める山間地です。

1960年代まで林業が盛んで、木材伐採や炭焼きで栄えました。先人がつないできた緑豊かな環境を次の時代につないでいく責務があると思っています。

また、過疎化による人口減少が大きく立ちはだかっているなかで、いかにして地域の活力を維持し、誇りを持てる地域にしていくことが重要課題だと捉えています。そのなかで観光は宍粟市にとって重視すべき存在になっており今春、第3次ふるさと宍粟の観光基本計画を策定しました。

おかげさまで近年のキャンプブームとSNSによる情報発信などで、多くの方々が赤西(あかさい)渓谷にお越しになるようになりました。これまでは知る人ぞ知る存在でしたが、今度は有名になりすぎて、多数の車が入って来るようになってしまいました。なかにはマナー違反もあって、ゴミの投棄や直火の焚火が目立つようになり、山火事や環境破壊の心配が出てきたため、2022年7月に自動車とオートバイなど一般車両の通行を禁止にいたしました。

徒歩か自転車でしか行くことができませんが、宍粟市の大事な自然環境を守るためには仕方がなく決断いたしました。現在はE―Bikeを使った森林セラピーの新たなプログラムを作り、赤西渓谷の環境にやさしいツアーを呼びかけているところです。

また2005年には自然豊かな宍粟市をアピールする「しそう森林王国協会」により、市内にある銘木や巨木を調査し「巨樹・銘木」を発刊しました。

この調査も先人から引き継いできた歴史や文化を次代につなぐ役割から行ったものですし、交流人口を増やすことで宍粟の魅力ある素材に触れていただいて、その中からここに住みたいという人が出てくる連鎖に期待したいと思います。

福元晶三・宍粟市長

福元晶三・宍粟市長

―今後について具体的なお考えがあれば教えてください。

日本一の風景街道をつくっていこうと考えて、今年度から取り組みを始めています。目に映る景色だけでなく、先人から脈々と受け継がれてきた歴史や人の営みを風景と捉えることが、私たちの誇りにつながるのではないか、それが諸々の宍粟の風景であり、日本一の風景街道だと思っています。

播磨国風土記には宍粟が「日本酒発祥の地」であることが記されていますので、発酵文化が生活に根差したものになっていることを市民の方々と共有していきたいですね。兵庫県下で最大級といわれる氷河時代の千町岩塊流(せんちょうがんかいりゅう)も地域遺産だと思いますので、観光客や市民の方々にも知ってほしいと思います。

市民が地域を誇りにし、「ぜひ宍粟に来てほしい」と思うことが、これからの宍粟の観光だと思います。これまでお話しした誇れるものを市民の皆さんに知っていただき、市民の方々と一緒になって盛りあげていきたいですね。

森林セラピー

宍粟市を代表する観光アトラクションの一つ
「森林セラピー」を楽しむ

兵庫県宍粟市 観光に関するお問い合わせ

公益財団法人しそう森林王国観光協会
〒671-2558 兵庫県宍粟市山崎町上比地374(兵庫県立国見の森公園内)
電話:0790-64-0923 FAX:0790-64-5011

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