“歩き観光”こそ小樽の醍醐味(1) 小樽運河界わいを歩く
小樽は時速3キロ、歩き観光が楽しい。まちの中心部はきゅっとコンパクトにまとまり、見どころや観光スポットが適度な距離で点在する。もちろん歩いているからこその発見もある。海と山が近い視覚的な効果もあるのかもしれないが、結構な距離を歩いても思ったほど疲れを感じないのも、歩き観光をお勧めする理由だ。かつて北海道の心臓と呼ばれた北の商都は先人に倣い、歩いてめぐるからこそ得られる価値がある。
まちのシンボルにどっぷり
まちのシンボル、小樽運河界わい。運河に沿って建ち並ぶ倉庫群が旅情を誘う。朝は昼間の喧騒が嘘のように静まりカモメの鳴き声を聞きながらぶらぶら。夜はガス灯が灯りロマンチックな雰囲気に浸る。
小樽芸術村は、旧北海道拓殖銀行小樽支店など歴史的建造物4棟に絵画やステンドグラスなど多種多様な美術品を展示。今年4月には小樽運河のほとりにある旧浪華倉庫を活用した西洋美術館もオープンした。4館共通入館券は大人2900円、小学生500円。
運河プラザは、小樽運河の拠点。観光案内や土産品販売などが集約されている。ここでは喫茶コーナーにぜひ立ち寄りたい。店主の佐々木一夫さんは、小樽運河保存運動にも尽力され、小樽の歴史や見どころをお話ししてくれる。佐々木さんが淹れたコーヒーをいただきながら、小樽の生き字引からとっておき情報を引き出そう。
隣のレンガ造りでレトロな雰囲気の小樽百貨UNGA←(プラス)には「小樽を贈る」をコンセプトに、自社ブランドを含めたスイーツや海産加工品などの逸品がそろう。「商品を通して、海運の北前船が開運を運んできた歴史を感じてほしい」と同店プロデューサーの白鳥陽子さん。ギャラリーも併設する。
今、小樽の町衆が力を入れているのが北運河エリア。舟運の機能を今に伝える昔ながらの運河の風情を残す。その中でもひと際目を引くのは旧北海製缶小樽工場第3倉庫。長年潮風を浴びた赤茶けたむき出しの階段が往時を忍ばせる。現在倉庫は市が管理しており、将来的に交流拠点として活用が検討されている。
運河北端に位置する運河公園は、旧日本郵船小樽支店の前に広がり、かつて舟運の荷下ろし場だったところを整備した。
さらに歩を進めると、地元でも愛されている鱗友市場があり、早朝から料理人が買い付けにくる鮮度抜群の魚介がそろう。小樽リピーターは、朝ご飯を市場内の食堂でという人も少なくない。
小樽市総合博物館本館は1909年製造のSLアイアンフォース号を動態保存するなど、北海道の鉄道に関する歴史が詳細に展示されている。入館料は400円(冬は300円)。
この先も手宮公園など炭鉄港として栄えた小樽港の歴史を感じられるスポットもある。帰路は、北海道で最初に開通した幌内鉄道(旧国鉄)手宮線の線路跡をたどろう。途中から実際に線路も敷かれており、近年では映えスポットとして手を広げながら線路上を歩く観光客の姿が絶えない。
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