「カイゼン」6年間で3.4億円の改善効果 水明館、効率上げ顧客満足も向上
「小さな改善を可視化し共有、継続」
本来は製造業で培われたトヨタ生産方式「カイゼン」を旅館運営に応用し、2018年の導入から6年間で累計3.4億円の改善効果を上げた水明館。
同館では従業員約300人のうちの1割が「カイゼンリーダー」として活動をけん引し、部署を超えた連携と現場主体の改善により無駄の排除、作業の標準化、在庫・備品の定位置・定量・定数管理を徹底。「カイゼン」の特徴である「一歩減らす、1秒減らす」という小さな削減を積み重ねることによって、歩数や秒数を具体的に計測・金額換算し、成果を可視化することで、現場への納得感と改善意欲を高めている。
洋食調理部では朝食バイキングの仕込み量をロット化し、派遣社員教育を動画化。料飲部では配膳動線を「一筆書き化」することで年間150万歩以上を削減。客室清掃では清掃から部屋セットまでを1人で完結し、派遣人員削減と残業時間の大幅減を実現した。施設管理部では点検作業の見直しで時間と身体負担の改善を図り、購買部では在庫管理と発注方法を見直すことで在庫金額を約3分の1に削減した。マーケティング部では宿泊プランを再設計し、年間500万円以上の売り上げ増を達成している。
同館では19年の4・4億円を皮切りに年間、3―9億円規模の改善を行い、累計で3.4億円の改善効果を実現。コスト削減が目的ではなく、あくまでも作業動線や手順を見直すことでスタッフの負担を軽減し、接客や演出に時間を取れるようになり、顧客満足度アップにつなげた。
「カイゼン」の取り組みは各部署の現場から改善案が上がり、リーダーが検証・共有・成果を確認し、全社で可視化され各部署で横断的に学び合うが「人を減らす」のではなく「無駄を減らして人の力を活かす」ことを目的としている。

社内スタッフがカイゼンを学ぶ
同館の瀧康洋社長は「小さな改善を可視化し共有、継続するといった地道な積み重ねが数億円規模を削減できる成果を生み出します」と話している。
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