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「カイゼン」で地域に活力 下呂温泉観光協会・瀧康洋会長に聞く

観光地域づくり法人DMOとしてデータ分析に基づく観光プロモーションや地域マネジメント、地域資源を活用したエコツーリズムの推進に精力的に取り組んでいる下呂温泉観光協会。「観光による経済効果だけでなく、地域住民が豊かに暮らせることが最大の観光の目的」だと強調する瀧康洋会長(水明館)に下呂温泉の現況と現在、地域で取り組みを進めているトヨタ生産方式「カイゼン」について聞いた。

品質の維持と生産性向上 地域力アップで団体誘致

―下呂温泉の現況を教えてください。

2024年度、下呂温泉の宿泊客数は前年度4%増の100万1852人で5年ぶりに100万人を超えましたが、堅調に伸びている個人客に対して団体客の回復が遅れています。

地域全体のことを考えると、個人客だけを追いかけていては地域にお金が落ちず経済効果を得られません。宿泊施設での飲酒に伴う酒販売など地域の取引業者の経営安定のためにも団
体客を取り込むことは大事なことです。旅館だけが生き残ればいいという話ではないので、今年度は団体客獲得のために注力します。団体客と言っても、昔のような大人数だけでなく、グループなどにも対応できる旅館なのかどうかといった細かい情報をまとめ、主にANTA会員を中心にセールス活動を行う方針です。

下呂温泉観光協会・瀧康洋会長

「住民の豊かな生活の質の向上を目指す」と瀧会長

―「カイゼン」を取り入れ、様々な効果が出ていると聞いています。その事例と現在、観光協会や商工会会員に向けて開いているカイゼンリーダー養成プログラム研修の狙いを教えてください。

観光業は人手不足や人件費高騰などにより構造的な課題に直面しており、サービスの品質の維持と生産性向上を同時に行わなければならない状況下にあります。

宿泊や交通、土産物、飲料、食品、さらには林業や農業など多様な生業を営む人々や地域住民と連携し、地域が一丸となって観光客を迎えるためには、地域の事業者にもサービスの質や生産性を向上させていくことで「地域力」をアップしていくことが必須になってきます。その取り組みは下呂温泉が観光目的としている「すべての地域住民の豊かな生活の質の向上を目指す」につながるものだと捉えています。

現在、複数の企業が「カイゼン」に取り組み、食材などの在庫管理や物の配置、無駄な動き、段取りの悪さなどを見直す試みが行われています。実際に顧客が求めていない不要な作業や3、4人が必要だと思われていた作業が実際は1人で回せる作業であることが確認できたといった事例が数多く報告されています。効率をあげることで本来最も重視しなければならないサービスに特化できているといった内容が多いですね。

「カイゼン」に取り組む社員が自身の業務効率向上で給与アップになったという事例や当初は「なんでこんなことをしなくてはいけないんだ。従来のままでいいじゃないか」と抵抗する社員がいるなか、「カイゼン」を継続していくなかで効率化を実感し、自らのアイデアや意見を出すようになるなど社員の意識変化につながり、職場環境の変化といった効果もあると聞いています。

今後も1社でも「カイゼン」に関わる事業者が増え、地域全体が元気になることを期待しています。

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