明智光秀の菩提寺「西教寺」 戦国ゆかりの見どころ十分/大津
光秀の思い宿る 境内に広がる歴史絵巻
「びわ湖大津・光秀大博覧会」のメーン拠点のひとつとなる戒光山西教寺は、光秀の菩提寺として今年、スポットが当たるが、天台真盛宗総本山として歴史の中で大きな存在感を放ってきた。戦国時代には信長による比叡山焼き討ちの被害を受けたほか、光秀の思想にも影響を与えるなど、この時代への関与も大きい。大河ドラマ「麒麟がくる」放送の今年、近江の戦国観光には欠かせない地だ。
聖徳太子の草創と伝わるが、中興は室町時代の1486年、天台真盛宗の宗祖となる真盛が入寺してから栄えたとされる。戦国時代に入り、信長の比叡山焼き討ちで境内は焼失。その後、坂本城主になった光秀が総門や庫裏を寄進するなど復興に大きく貢献した。
復興は焼き討ちから1年後という迅速なものだった。信長家臣の光秀が寺の復興に注力したのは、浄土への往生を説き、戒律の厳守、不断念仏を重視する同寺の姿勢に共感したから。光秀は檀徒となり、寺を保護するに至ったという。
妻・熙子の供養を依頼し、ここに墓を建立したのもその教えゆえ。光秀自身と明智一族の墓も残り、坂本城の城門を移築したという総門もあわせて、光秀の思いがここに色濃く残っている。
西教寺は、ほかにも見どころが十分。本堂は1739年建立で、欅材は徳川家が寄進した。客殿は1598年に伏見桃山城から移築した旧殿で、戦国武将・大谷吉継の母らの寄進によるなど、光秀以外にも戦国の有力武将ゆかりのものが多い。
小堀遠州作の庭園や、宗祖大師殿唐門の向こうに見える琵琶湖の壮観な眺めなど、見逃せない景観も多い。唐門には一対の麒麟の像が彫られており、「麒麟がくる」放送の今年は特に必見だ。
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