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その日のお湯はその日のうちに はわい温泉望湖楼・中島社長、新・大浴場を語る

鳥取県ハワイ温泉の望湖楼は7月26日、1年に及んだ客室の耐震化と大浴場のリニューアルを含む大規模な改築を終えた。今回の工事のねらい、目的を中島伸之社長に聞いた。

屋台骨を筋骨隆々に

今回、耐震工事が前面に出ていますが、リニューアルの最大の目的は大浴場を完全リニューアルすることでした。客室やロビーの改修、料理を新しくすることは、ある意味いつでもできるんです。しかし、大浴場のリニューアルは休まないとできません。温泉地で大浴場に入れない旅館には誰も泊まりにきてくださいません。当初は大浴場を交互に使いながら営業しようとも思いましたが、工期が伸びる上、お客様の満足度が低くなるのなら、いっそのこと全館休業にしてしまおうと決断しました。

当館にとって大浴場のリニューアルは長い間、懸念材料でした。多いときは300人近くお泊まりになるのに以前は15のカランしかなく手狭でしたが、どうしてもリニューアルのタイミングが合わず、22年ぶりの大浴場の投資となりました。

工事自体は昨年の7月から始まりましたが、今回の大浴場の場所に以前はナイトクラブがありましたので、その解体を含むと1年半かかったことになります。11月から12月は繁忙期であるため10月に大浴場の工事は一時ストップし、今年1月から3月全館休業。4月1日に晴れて大浴場のリニューアルオープンという運びとなりました。

新しい大浴場は「神話の湯」「天女の湯」と名付け、どちらもカランの数は大幅アップし、ゆっくりとお寛ぎいただけるようになりました。

望湖楼

今年4月にオープンした「天女の湯」

大浴場にこだわるのは温泉がいいからです。湯量も多く、ハワイ温泉の各旅館は大小の規模にかかわらず源泉かけ流しです。当館の大浴場のテーマは「その日のお湯はその日のうちに」です。昨日使ったお湯は今日使わないということです。

望湖楼中島社長

22年ぶりの大浴場リニューアルで
かけ流しの温泉を楽しんでほしいと話す中島社長

今回の工事は、ミサワホームさんにお願いしました。設計は東京の青木茂建築工房さんで建物の美観を損ねない形での耐震改修になりました。日本の人口が減っていくなか、国内の住宅新築着工件数はどのように考えても増えません。住宅メーカーからすると非住宅をどれだけ手がけていくかが重要なわけです。そういったバックボーンがあり、ご縁あってミサワホームでということになりました。ミサワホームにとって旅館で5億円を超える工事は初めてだったとお聞きしていますが、旅館としてしっかりしたものを造っていただき、ミサワホームの仕事の確かさが証明されたと自負しています。

耐震に4・5億円、大浴場に3・5億円で8億円ほどかかりました。耐震工事は鳥取県の助成がありましたから、8億円すべてを投資したわけではありません。その一方、工事の関係で4月から6月まで25室、7月も15室使えないなか、昨年を超える実績を出すことができたのは投資効果だと思います。

温泉を含めたこの環境が当館の最大の武器なので、何もない広がった開放感ある風景を見に来ていただきたいと思います。客室はどれだけ手を加えても家庭の快適性には勝てません。普段の生活感とは違うところを体験してもらえるのが旅館の良さです。それがないと勝ち残れません。望湖楼という旅館を一所懸命守り、屋台骨を筋骨隆々にできるよう最善を尽くしていきたいですね。

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