「海遊リゾート・皆生温泉」選ばれ続ける温泉地へ 皆生温泉まちづくり会議・伊坂明座長に聞く
2020年に開湯120年を迎える鳥取県皆生温泉。日本国内で最初にトライアスロンが開かれた地であり、開湯120年と同年に発祥から20年という節目の年を迎える。皆生温泉まちづくり会議(伊坂明座長=皆生グランドホテル天水)はこのほど、30年後も選ばれ続ける温泉地を目指し「海遊リゾート・皆生温泉」と銘打った皆生温泉まちづくりビジョンを作成した。伊坂座長に話を聞いた。
海・砂浜を生かす 温泉情緒や統一感の創出
皆生温泉の現状は2019年3月の段階で旅館組合加盟旅館は19軒、約4千人を収容する規模です。17年の宿泊客数は38万8千人で、米子自動車道が開通した1993年のピーク時から約25万人減となっています。地域別の宿泊状況は大阪、兵庫、広島、岡山の順になっており、この1府3県で約50%を占めています。ここ数年の傾向として全国各地のデータと同様、団体旅行から個人・小グループ旅行にシフトしていることが顕著にみられます。
まちづくり会議では、皆生温泉は目の前に海が広がる温泉地であること、名峰大山まで近い立地で自然豊かな環境にあること、フィッシングなど海の遊びがあること、トライアスロンやシートゥーサミットなどの大会が日本で最初に開かれた地であること、そして「海に湯が湧く」「皆が生きる」温泉地であることから「海遊リゾート・皆生温泉」として今後のまちづくりを進めることにしました。
我々の取り組みの最優先事項を「海・砂浜」に設定し、米子市観光センターから海岸線までの四条通りを「海・砂浜」と温泉街エリアを接続する動線として皆生温泉「『T』ライン」を設定したまちづくりを進めます。
具体的には温泉情緒と統一感のある町並みを形成し、共通のデザイン・ロゴ・シンボルカラーの創出、Tラインの景観整備、二次交通の拡充などに取り組みます。
なかでも海・砂浜と旅館を結ぶ遊歩道は現在、鳥取県によってサイクリングロードが整備されつつあります。皆生温泉エリア内にはレンタサイクルもあり、ランニングや散策コースとして地域の人が楽しんでいる姿を見ますが、特定層の利用に限られているのが現状です。より気軽に誰もが海・砂を身近に感じてもらえる雰囲気づくりを醸成し、多くの人に遊歩道、サイクリングロードをご利用いただければと思っています。
温泉・砂浜・海という皆生温泉の強みに加え、山陰の中心に位置するという立地、鉄道や道路など交通の利便性といった特性を生かしながら、積極的に他地域とつながり、利益連携を目指しています。その結果、圏域に存在する様々な魅力を私たち自身の魅力として「30年後も選ばれ続ける温泉地」をつくっていこうと決意しています。
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