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地球環境が形成した町並み 吉良川町を歩く

独特な水切り瓦やいしぐろ

たびたび台風が襲来し雨が多い室戸市にあって、白壁土蔵の「水切り瓦」など独特な町並み景観が残る吉良川町。1997年に、文化庁から伝統的建造物群保存地区に選定され、町並みの保全と観光への活用を柱としたまちづくりが進められている。

吉良川町は古くから林業が盛んで、明治期には「土佐備長炭」の生産が始まり、関西方面への積出港として栄えた。往時には、狭い町内に炭問屋が4軒あり、関西との交易で財をなした廻船問屋や商家が建ち並んだ。

今も町に入ると道の両脇に商家、白壁の蔵などが残る。そのどれもが、台風銀座とも呼ばれたこの地の風土に合わせた建築様式で、ほかにない町並みを形成している。

蔵の壁をフリルのように取り巻いている瓦が「水切り瓦」。暴風雨から漆喰の白壁を守るための設えだという。実用性と同時に、水切り瓦は、その目立つ意匠から、左官が技術とセンスを競う場でもあったそうだ。白壁をつくる漆喰にも、暴風雨対策として独特の工夫がされている。土佐漆喰と呼ばれ、漆喰を厚く塗り重ねる。表面を光輝く「鏡面磨き」に仕上げるには半年以上の丁寧な作業が必要だったとされる。

また、屋根瓦も町並みの北側と南側で葺き方が異なる。まちを案内してくれたNPO法人吉良川町並み保存会の細木敏美さんによると「台風時はほとんどが東からの風。瓦の重なりを風下にすることで雨水が入り込まないようにしている工夫です」という。細木さんの指さす方向を見ると確かに北側の屋根は左瓦、南側は右瓦になっている。

暴風雨から家を守るために石を積み重ねた石垣「いしぐろ」も、この地方ならでは。よく見ると家によって石組みの仕方が異なるなど個性的だ。

吉良川町

土佐漆喰の白壁が美しい町並み。
ベンチに腰かける吉良川町並み保存会の細木さん(左)

各家に注連縄が下がっているのも珍しい。まちの中心部に鎮座する御田八幡宮(おんださん)から授けられるもので、八幡宮では隔年5月3日に御田祭が行われ、鎌倉時代から伝わる田楽や猿楽の芸能が奉納される。

八幡宮の参道は緩やかに勾配がある。これも海成段丘の一つで、吉良川に住む人たちも、隆起などの地殻変動や台風と折り合いをつけながら暮らしてきたことがわかる。

吉良川町

段丘面の上に広がる吉良川の町並み

町並み散策は、吉良川町町並み保存会によるガイドツアーがいい。1時間から1時間30分のコースが標準だが、リクエストに柔軟に対応してくれる。近年、古民家を改装したカフェやレストランが増えており、まち歩きとともに飲食が楽しめる。

高知県室戸ユネスコ世界ジオパーク 旅のおすすめサイト

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