瀬戸内国際芸術祭2022を歩く “四国の旬”を訪ねて前編(2) 小豆島エリア・「迷路」と「海」に何を思う
まちを作品を「ダンジョン探索」 迫る夏会期に期待が高まる
次は船で香川県小豆島へ。島のいたるところにオリーブが植栽された風光明媚な地にもアートの風は吹いている。
土庄町中心部は古くから入り組んだ路地が広がる「迷路のまち」。その名も「迷路のまち―変幻自在の路地空間」は家屋の外壁が室内にまで広がり、内部が洞窟のようになった白い空間を歩いて探索できる、まちを体現したような作品だ。
路地を歩けば、カンボジアの生活に根付くアルミ製品で作った木々が並ぶ空間作品「La Danse」、人の横顔のようなオブジェ「いっしょに/ともだち」といった作品も。旧土庄町役場の「立入禁止」は「立入禁止」と書かれた看板が点在し、看板の向こうの風景に想像をめぐらせる仕組みとなっている。ロールプレイングゲームよろしく「ダンジョン探索をしながら、まちを遊んでいる」という思いに。
小豆島では海を感じることも欠かせない。三都半島にも作品が点在し、海を見下ろす丘には流木や廃線、石垣を組み合わせた巨人像「ダイダラウルトラボウ」が存在感を放つ。役目を終えた漁船を作品化した「舟物語」、ホルン型の集音装置で波の音が響く「潮耳荘」などの作品群に、海と生きる地域の暮らしに思いを馳せる。
宇野港、小豆島両エリアで感じた「アートとまちの融合」。地域風土を生かし、地域に溶け込み、地域を伝える。瀬戸芸のコンセプト通り、アートを媒介することで地域そのものを自然と感じられた。今回同行していただいた瀬戸内国際芸術祭実行委員会の合田健さんのガイドによる力も大きく、瀬戸芸の旅はガイドツアーを利用するのもいいだろう。
両エリアではゴールデンウイーク終了後まもない時期かつ雨天という環境でも、グループや個人、母娘で作品をめぐる姿が目に付いた。瀬戸芸の注目度の高さをあらためて肌で感じた。
瀬戸内国際芸術祭はほかにも直島や犬島といった島々や高松港周辺も会場。今後、8月5日―9月4日に夏会期、9月29日―11月6日に秋会期が開かれる。
今回の旅の2日目は、徳島県大歩危・祖谷へ。四国の“まんなか”へ鉄道の旅へ繰り出した。(トラベルニュースat22年7月10日号に続く)
(前の記事)瀬戸内国際芸術祭2022を歩く “四国の旬”を訪ねて前編(1) 宇野港エリア・まちの歴史と生活をアートで感じる
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