甲賀の城館遺跡をめぐる 日本遺産「忍びの里」(2) 戦国甲賀の息吹感じる城館群
忍者がここに生きたか 「甲賀郡中惣遺跡群」
水口岡山城と水口城は戦国末期から江戸にかけて現在のまちの礎を築いた城郭だが、次は時代をさかのぼって甲賀の状況を見てみよう。
戦国期の甲賀の統治状況を色濃く示しているのが、甲賀郡中惣遺跡群。忍者のイメージの原点ともいえる甲賀の土豪たち、甲賀衆が合議制による自治体制を築き、外部からの圧力に対応するため築城していった城館群だ。戦乱で時代が変遷するなかで構造を強化していった歴史を持つ。
その構造は、一辺約50メートル四方の土塁に囲まれた主郭を持ち、戦闘に備えて副郭を持つ構造に強化していったというのが甲賀衆の城館の特徴として挙げられる。
なかでも、「甲賀流リアル忍者館」にも近い新治地区にあった5城をまとめた「新治の城館遺跡群」は、日本遺産の構成文化財「甲賀の中世城館群」のひとつにもなっている。戦国甲賀の「忍びの里」の息吹を感じることができる趣深いエリアだ。
寺前城跡、村雨城跡、新宮城跡、新宮支城跡、竹中城跡の5城はいずれも甲賀衆の城の特徴そのままの構造を持つ。今は林になっており、土塁が確認できる程度だが、静寂に満ちた空間が忍者たちの暮らしを想起させる。周囲には服部城跡、倉治城跡もあり、現在の集落を取り囲むように城が点在していたことがわかる。
また、甲賀市水口にある下山城跡も甲賀衆の特徴的な城のひとつ。平地にあった屋敷と丘の上に建てた城がいずれも同じ大きさ、同じ形という甲賀らしい特徴をそのまま持っていた城だったようだ。今は土塁と堀跡などに往時の名残を見ることができる。
そのほか、のちの足利義昭である覚慶を和田惟政がかくまった和田公方屋敷跡、本能寺の変による徳川家康の「神君伊賀越え」で家康が宿泊したと伝わる多羅尾氏の居城・小川城跡、その多羅尾氏が江戸時代に務めた代官陣屋跡など甲賀の戦国遺産に見どころは数多い。
忍びの里・甲賀の戦国城めぐりで歴史の深淵に飛び込みたい。
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