誰もが旅する山陰 ツアー、宿、交通の代表者でユニバーサルツーリズム鼎談(2)
生産性向上にもつながる なにわ一水社長・勝谷有史さん
―ユニバーサルツーリズムの市場規模は。
勝谷 国内旅行市場は人口の減少に伴い下降気味で、それを補うために多くの旅館ホテルなど観光施設はインバウンドに取り組んでおられます。
それは悪いことではありませんが、国内旅行のユニバーサルツーリズムの市場は試算上で3兆9千億円と言われ、需要があることも事実です。これを推し進めることが国内旅行市場の拡大につながるのではないでしょうか。欧米のお客様にとってユニバーサルツーリズムは当たり前なので、この市場を取りに行かないのは日本の観光にとってデメリットでしょう。ユニバーサルツーリズムは海外からのお客様へのおもてなしのひとつにつながる大切な部分です。
5年ほど前の統計で、中国5県でユニバーサルツーリズムが増えるかどうかという調査で最も多く「増えている」と答えたのは交通事業者で、観光施設、旅館と続き、最少は旅行会社でした。交通事業者は普段からバリアフリーを必要とするお客様に接しているから、現状がよくわかるのでしょうね。旅行会社は最も遠い立ち位置にいるのかもしれません。
―示唆に富む指摘…。
勝谷 旅館の段差をすべてなくせばバリアフリーと思っておられる方も少なくないのですが、段差をなくしてしまうと介護施設か病院になってしまいます。旅館は非日常を与え、普段とは違う客室の設備やデザインをお楽しみいただくことが必要とされているのですから、完全なバリアフリーは旅館がすべきことではありません。
川瀬 今後お客様に評価される観光地は、身体に障害がある方だけではなく高齢者の方にも対応できるところです。ユニバーサルツーリズムを提供する旅行会社の窓口があり、二次交通が整備されて旅館ホテルもユニバーサルツーリズムを理解している。そんな観光地が着目される時代はそう遠くないと思います。
―大事なことはユニバーサルツーリズムの取り組みを情報発信し続けるということですね。
森山 どのような方でも旅行できる環境をバスツアーで作っていきたいと思いますし、今日お集りの皆さんと一緒に松江でユニバーサルツーリズムのモデルになれるよう努めたくと思います。
川瀬 ユニバーサルツーリズムを推進する旅行を提案する当社と宿泊施設、バス会社が集まりましたので三位一体でユニバーサルツーリズムを推進していきましょう。
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