忍びの里、陶芸のまち—甲賀に2つの日本遺産(1) 焼物ミュージアムを歩く
信楽狸づくりや絵付け体験も
甲賀市信楽町には200以上の窯元が点在し、そこかしこにユニークなたぬきの置物がある。2017年には「きっと恋する六古窯—日本生まれ日本育ちのやきもの産地」のストーリーが日本遺産に認定された。認定にあたっては「さながらまちなかのミュージアム」と評価され、まさに焼き物のまち、陶芸のまちを感じる。さらに関連施設を見学すると、それは実感を得る。
「滋賀県立陶芸の森」は焼き物の創造、研修、展示、販売など信楽焼を中心に陶芸について見識を深められる施設。広大な敷地は陶芸の美術館である陶芸館、信楽産業展示館、創作研修館、屋外展示作品群の広場など4エリアに分かれている。
「甲賀市信楽伝統産業会館」は鎌倉時代から現代までの信楽焼の作品や関連資料を展示。現代作家の企画展も開かれる。12月21日から20年3月28日までは「NHK連続テレビ小説『スカーレット』展」を開催する。ドラマのパネル展示や実際に使われた衣装や小道具、フォトスポットを展示。劇中に登場するヒロイン喜美子がつくった作品は見もの。入場無料。
「宗陶苑」は山の斜面を利用した国内最大級の登り窯を構える。江戸時代に築かれたもので今なお現役。数多くの作品を生み続けている。「スカーレット」のロケ地にもなった。施設内では、経験豊富なスタッフがわかりやすく指導し、信楽狸を作ることができる。狸の表情や形を自由にアレンジしてオリジナルの信楽狸に仕上げる。1日2回行い、所要時間は約2時間。そのほかの陶芸体験は基本的に1日3回(10時20分、13時、14時30分から)。所要時間は約1時間30分。
「しがらき顕三陶芸倶楽部」は電動ロクロ、手びねり、タタラコースから希望のものを選ぶ。体験コースは3つ。1時間から2時間の成形体験後は陶房で乾燥から本焼、窯出の作業が行われる。完成作品は配送される。
「谷寛窯」は大きな瓦屋根の建物と赤煉瓦の煙突がシンボル。ギャラリー1階は3代目当主、谷井芳山の作品を主に展示。2階は陶芸作家のセレクトショップで陶器のある暮らしを提案する。
「大小屋」は陶芸の森に隣接。ろくろ、手びねり、絵付けなど手軽に陶芸体験ができ、陶芸と食事をセットにしたプランもある。近江牛など地元の食材を自身で選んだ器で出してもらえる。車いすのままでの陶芸体験などバリアフリーにも配慮している。
「登り窯ギャラリーOgama」は、役目を終えた登り窯や作業小屋を改装。1階は登り窯を見ながら休憩できるカフェで、2階はギャラリー&ショップ。信楽在住の作家が手がけた置物や食器が並ぶ。
「信楽陶芸村」では百年以上続いた窯を実際に見ることができ、登り窯カフェ(要予約)としても営業している。陶芸体験や信楽焼の販売も行っている。
こうした施設のほかにも「窯元散策路」などで陶芸の郷のまち歩きも楽しめる。登り窯や無造作に積まれた古い火鉢、陶製の道標が懐かしい。ろくろ坂、ひいろ壺坂、窯場坂と散策すれば、ギャラリーやカフェもある。
滋賀甲賀 旅のおすすめサイト
- 信楽舞台に女性陶芸家の人生描く 連続テレビ小説「スカーレット」(19/12/18)
- 忍びの里、陶芸のまち—甲賀に2つの日本遺産(2) リアルな甲賀流忍者を探る(19/12/18)
- 東海道の宿場町を歩こう 歴史風情が色濃い土山宿と水口宿(19/12/18)
- 甲賀の温泉で寛ぐ(19/12/18)
- 地元産でつくる「緋色なグルメ」 甲賀市内41店舗で提供(19/12/18)
- 滋賀県随一の酒どころ 甲賀市内9つの蔵が美酒製造(19/12/18)
- お茶どころ甲賀 朝宮茶や土山茶、スイーツも(19/12/18)
- 甲賀のおもてなし 信楽焼の器で地元産茶と酒(19/12/18)
- “パーク&ライド”観光 甲賀市が臨時駐車場開設(19/12/18)
- 緋色のであい 甲賀市内周遊を促すスタンプラリー(19/12/18)