大自然と風土求めて富山へ 山田温泉拠点の旅
静寂の感動「おわら風の盆」 ラフティングやトレッキングで自然体感
北に日本海、南に立山黒部アルペンルートと大自然に囲まれた富山県。豊富な食材や独自に育まれた文化、今も残る日本の原風景など、ここだけの旅の楽しみにあふれている。そんな富山観光の拠点となるのが県の中央に位置する県都、富山市。市内南西部の山間には山田温泉もあり、県内を東西に旅するには便利な拠点となる。富山が誇る癒しの地を拠点に、富山だけの風景、体験を求めて旅に出かけたい。
山田温泉に宿泊客が詰めかける時期が、「おわら風の盆」開催時。温泉から東へ車で約20分、富山市八尾(やつお)町で毎年9月1―3日に開かれる越中富山を代表するビッグイベントで、例年多くの観光客が訪れる。300年にわたって踊り継がれてきた伝統民謡「越中おわら」を今に伝える祭典は、哀切感に満ちた旋律に乗って踊り手たちが無言で踊り、静けさのなかに山間のまちで培われた独自の地域風土を伝えてくれる。
今年の「おわら風の盆」は終了したが、八尾のまちを歩くと、その背景に流れる風土を肌で感じることができる。八尾は山の傾斜に石を積み上げて作られた“坂のまち”。「おわら風の盆」のメーンイベントのひとつ町流しの舞台となる諏訪町本通りを歩けば、石畳の道、白壁と格子戸の家屋が立ち並ぶ町並みに歴史風情が感じられる。近年は外国人観光客もその風情を求めて多く訪れている。
歴史風土の次は、やはり自然。水のまちでもある富山市内を流れる神通川では、ラフティング体験が楽しめる。ジェイウェット・アドベンチャーは11月まで、初心者から上級者まで川と周囲の大自然を楽しめるコースを用意。黒部川や庄川でも同様のコースを設定しており、豪快さと爽快さに包まれた富山の大自然を体感しよう。
山に行けばトレッキング。山田温泉からは標高1596メートルの白木峰と、標高987メートルの牛嶽が近く、いずれも登山初心者でも気軽に山の美に触れられる。
その自然を生かして近年、スポーツイベントが隆盛。5月に開かれたサイクリングイベント「グランフォンド富山」は、海抜ゼロメートルの富山湾から世界遺産・五箇山を目指す、起伏に富みながらも自然、風情を楽しめるコースで人気だ。
そのほか、山田温泉周辺では、りんご農園や、やまふじブドウ園・ワイナリー、特産のジャガイモ「牛岳高原馬鈴薯」、山菜の摘み取り体験など自然の恵みを味わう魅力が豊富。棚田群の風景も懐かしの自然と共生する姿を見せてくれる。
また、県内全域に目を向けると、県が近年力を入れる産業観光や、富山市山田村と南砺市利賀村が推進する農家宿泊体験など旅行会社が注目する観光素材が並ぶ。自然に歴史に暮らしにと、富山の“あるがまま”が旅人を待っている。
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