DC直前の福岡・大分「大福旅」 世界遺産×アニメの聖地×温泉(2)
日田の風情と別府の温泉情緒
江戸時代は天領だった大分県日田市。豆田町など歴史あるたたずまいを残す町並みがホッとさせる。今、新しいスポットが海外からの観光客も呼び込んでいる。全世界での単行本累計発行部数が1億部を突破した大ヒット漫画「進撃の巨人」の作者・諫山創(いさやまはじめ)さんの故郷が日田。大山ダムには進撃の巨人の登場人物の銅像が建立されファンが聖地巡りに。「進撃の巨人inHITA」である。
作者の父と幼馴染みだという地元の蔵出し味噌醸造元の代表・原次郎左衛門正幸さんは「クラウドファンディングが何のことかもわからんでしたが、アッという間に目標額が集まりました。進撃の巨人のおかげで年間20万人もの観光客が訪れ、コラボ商品のサイダーも売れています」。
宿泊した日田温泉・みくまホテルの屋上露天風呂から見下ろす三隅川には200年の伝統を誇る鵜飼の屋形船が停泊中。シーズンとなれば、長良川と並ぶ規模の40捜以上の屋形船が川面を往来するという。さぞ幻想的なことだろう。
旅も終盤、バス車窓から由布岳を見ながら別府温泉へ。地獄蒸し料理の昼食会場へ急ぐ。摂氏98度、100%地熱エネルギーの温泉噴気で蒸す野菜や肉、魚。別府鉄輪温泉では江戸時代から用いられていた伝統の調理法。ゆで卵の黄身もほくほくで、食材本来の旨みがあふれる。天然の恵みに感謝して「いただきます」。
22年暮れにオープンした地獄温泉ミュージアムは、温泉が生成されるメカニズムや“地獄”と称され価値が見出された別府温泉のプロセスをプロジェクションマッピングなどで紹介。地獄の噴気が勢いよく吹き上がる中庭は昔ながらの観光名所地獄めぐりの水先案内だ。
山の手にある明礬温泉の湯の花小屋を見学してタイムリミット。大型クルーズ船で別府に寄港した欧米や韓国、台湾の観光客がどどっと入場してきた。硫黄の匂い立ち込める売店で地獄蒸しプリンと温泉卵をお土産に買う。
全国一の湯量と源泉を誇る別府に来たというのに温泉にも浸からず、後ろ髪をひかれる思いで、別府駅から15時台の特急ソニックに乗り込み、小倉から新幹線を乗り継ぎ新大阪に帰ってきた。ほんの数時間前は九州にいたなんて。九州ってこんなに近かったかぁ。
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