うるう年の今年は愛媛が“熱い”(1) 運行開始10年、乗客数20万人達成―伊予灘ものがたり
閏年の今年は、3倍の功徳があると言われる「逆打ちお遍路」で四国は賑わっている。日本最古の道後温泉に浸かり、俄か遍路コスプレで温泉街を歩き、人気観光列車に乗り、来島海峡の潮流も体験した。ホットな伊予の国を旅した。(旅行ジャーナリスト・村上英子&本紙編集部)
心あたたか、上質な鉄旅
サイクリストの聖地・しまなみ海道から四国入り。絶好のサイクリング日和、インバウンドのサイクリストも瀬戸の多島美を楽しんでいる。ハイライトの来島海峡大橋は大島の下田水港から急流観潮船に乗り込み、海から長大な大橋を仰ぐ。来島海峡は潮流が複雑で、世界的にも珍しい「順中逆西」という特殊な航行方法で船が行き来している海峡だ。潮の流れが速く間近で見る渦、造船のまち今治ならではの建造中の船、村上水軍の城跡を眺める50分クルーズは見応え十分。ランチは道の駅よしうみいきいき館で、七輪で焼く海鮮バーベキュー。サザエなどの貝類が旨かった。コロナもあけて団体客が戻り満席だった。
四国上陸。八幡浜駅から松山駅まで念願の「伊予灘ものがたり~道後編」に乗車する。16時14分発。この夏で10周年、新車両リニューアルからは2年。乗り鉄、撮り鉄、というよりも食い鉄なる筆者は、アフタヌーンティセットが何より楽しみ。車窓から眺める景色と食事の豪華観光列車。重厚なる陶器の二段重にサンドウイッチ、スコーン、ムース。優雅なティーブレイク。海にもっとも近い下灘駅では10分停車。たくさんのファンが夕陽に染まっていく伊予灘と列車のシャッターチャンスを待っていた。
5月17日に乗客20万人を記録したばかりで、祝賀ムード。沿線住人のお手振りも、いつもの場所で、いつもの住人があたたかい笑顔をくれる。リピーターが多いのもうなずける。約2時間の上質な鉄旅。同行していたJR四国の西岡秀城大阪営業部長は「2014年に誕生した当時はよちよち歩きの列車で、地元で愛されるだけでなく全国の鉄道ファンに愛され、ここまで人気を得ることができ誇らしいです」と感慨深げだった。
18時17分松山駅に到着。工事中の駅舎は9月オープン予定だ。松山の新しい玄関口がどんなふうに変わるのか、楽しみに待とう。
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