韓国・忠清南道で百済文化に触れる(3) 百済最後の都・扶余
新名所も登場
公州の南に位置する扶余は、百済が泗沘(サビ、538―660)として都を置き、世界遺産の「官北里遺跡」はその王宮があった場所。錦江のそばに扶蘇山がそびえ立ち、遺跡北側の「扶蘇山城」は、平時は王宮の後園、有事では防御目的に築造された。
扶余中心部の「定林寺址」は、泗沘遷都直後に定林寺が創建されたと伝わる。寺跡の「定林寺址五重石塔」(高さ8・3メートル)は東アジアに現存する石塔では最古で、百済の優美さが感じられる。
泗沘時期の文化財を一堂に展示するのが「国立扶余博物館」。特に、国宝「百済金銅大香炉」は天上から水中まであらゆる世界、動物や人間などの生物が刻まれ、今にも飛び立ちそうな鳳凰の姿は一見の価値がある。韓国最古の人工池「宮南池」は百済の武王(薯童)と新羅の姫・善花が愛を育んだ伝説が残るスポットで毎年7月には蓮の花が一面に咲き誇る。
扶余では「水陸両用シティツアーバス」(39人乗り)が20年7月デビュー。扶蘇山の崖に位置する「皐蘭寺」や悲劇の場所「落花岩」などが錦江から見られる。韓国最大規模の歴史テーマパーク「百済文化団地」では、百済の王宮を再現した泗沘宮の見学、百済の歴史文化の体験も。ロッテ扶余リゾートやアウトレットなども隣接する。
白村江の戦い(663年)で、660年に滅亡した百済を日本が支援したものの、新羅・唐の連合軍に敗北。「日本書紀」には百済の記述があり、今も日本各地にその歴史遺産がある。
10年に一度の「2023大百済典」は、百済文化が体験できる絶好の機会。世界遺産の地で、日本と関わり深い百済の華やかな文化の数々を現地で体験してみてはいかがだろうか。
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