埋もれた歴史文化に触れる 大阪府柏原市の旅(1) 日本遺産「龍田古道・亀の瀬」
大阪府柏原市と奈良県三郷町の府県境付近にある日本遺産「龍田古道・亀の瀬」。日本最古の龍田古道のルートの一部で、古くから交通の要衝だった。反面、繰り返し地すべりが起こってきたところで、その規模は長さ1100メートル、幅1千メートル、最大厚さ約70メートルにも及び、現在も対策工事が進められている。
特に1932年(昭和7年)の地すべりでは関西本線(大阪鉄道)のトンネル・旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀の瀬トンネル)が、圧壊したほどだ。
そんな亀の瀬が再び注目されたのは2008年。圧壊した当時のままの状態で亀の瀬トンネルの一部が発見されたのだ。20年には日本遺産「もう、すべらせない!!~龍田古道の心臓部『亀の瀬』を越えてゆけ」に認定されている。
柏原市では亀の瀬を地域振興と地すべりの教訓に生かそうと、排水トンネルの見学を可能にしたほか、亀の瀬トンネルでは23年1月からトンネル内をプロジェクションマッピングで彩る「日本遺産『龍田古道・亀の瀬』光の旅路」を開催。長さ40メートル、高さ5メートルのレンガ造りのトンネルの壁画に48台のプロジェクターを使って、一度は地すべりで埋もれ、約80年ぶりに出現した幻のトンネルを舞台に約15分の映像が映し出されている。
近畿日本ツーリスト関西法人MICE支店では3月4―5日、この亀の瀬をメーンにしたモニターツアーを柏原市の委託を受けて実施した。
モニターツアーの実施目的は「龍田古道」の魅力およびと認知の向上と柏原市の観光促進。ツアーは柏原市の観光来訪促進事業として「大阪歴史探訪!日本遺産『亀の瀬』と世界遺産『百舌鳥古市古墳群』を楽しむ1泊2日の旅」。10人が参加し、堺市にある世界最大級の墳墓・仁徳天皇陵で堺市の観光ボランティアガイドから百舌鳥・古市古墳群の説明を受けてスタートした。
柏原市のJR高井田駅すぐの裏山にある史跡「高井田横穴公園」の園内では、国の史跡・高井田横穴群を保存・公開している。6世紀中ごろから7世紀前半にかけて造られた横穴160基が発見されており、そのうち20基を間近に見ることができる。
なかでも大正時代に発見され有名になった線刻壁画は人・鶏・馬などが描かれ、とてもユニークな現代アートのようだ。実物は見ることができないが、洞窟前のレプリカで壁画を楽しめる。
このほか園内にある柏原市立歴史資料館では、古代に柏原にあった寺院の資料や埴輪などを展示。大和川の付け替え工事がどのようにして行われたかも知ることができる。
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