埋もれた歴史文化に触れる 大阪府柏原市の旅(2) 和種馬・ワイン・朝護孫子寺
「和種馬ホースランド」は、日本在来馬の保護を目的にした施設で、乗馬・ふれあい体験などが楽しめる。和種馬は、かつて日本のサムライたちが乗っていた馬で、体高が110センチから130センチ。体高が低いので乗りやすい。2022年の12月にオープンしたばかりだ。
同ランド代表理事の横山雅始さんは「5世紀から6世紀の大阪には牧があり、多くの馬が育成されていました。古墳からも馬の埴輪や骨が見つかっており、馬との歴史的関わりが深いのが大阪なんです」と話し、大阪・柏原市で日本の文化遺産である在来馬を守り、馬たちが活躍できる場を設けたいとの思いを強調。「同ランドを広く知ってもらって利用してほしい」と訴えている。
「カタシモワイナリー」は1914年創業のワイナリーで、西日本で現存する最古のワイナリー。貯蔵庫は国の指定文化財になっている。ブドウ畑の見学やワイナリーツアー、イベントなど様々な取り組みを行っている。カタシモワイナリーにしかないワインも味わえる。ワイナリー周辺はブドウ農家だった古民家が立ち並び歴史的風情を残し、展望台からはあべのハルカスを含む大阪平野を望むことができる。
カタシモワインフード社長の高井利洋さんにワインの試飲やブドウ畑、町並みを案内していただいたが、お話を聞いて景色を見ていると百年前、山梨県や長野県を越えるブドウの栽培面積が日本一だったころのブドウ畑の光景がよみがえった。
このほかツアーの宿泊地だった奈良県三郷町にある信貴山観光ホテルでは、信貴山朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)へナイトウオークツアーに参加した。宿泊者のために無料で実施しているもので、毎日20時から1時間15分をかけて、夜の寺院を案内している。灯篭の灯りは一晩中灯されているということで、境内はなんとも厳かな雰囲気に包まれた。
翌日は再度、明るくなった信貴山朝護孫子寺へ。同寺は信貴山真言宗の総本山の寺院。境内に寅が設置してあるのは、討伐に出かける際に毘沙門天が出現したのが寅年、寅日、寅刻だったから。境内の寅探しをしてみるのも一興。朝護孫子寺からすぐ近くにある龍田大社は、古くから風の神(風神)を祀る神社として知られる。
飛鳥時代や奈良時代に大和の都と河内を結んでいた官道「龍田古道」のウオーキングとともにプロジェクションマッピングやカタシモワインを味わって、柏原の旅を楽しみたい。
参加者の1人は「大阪に住んでいながら知らないことばかり。今回は大阪を知るのに貴重な体験になりました」と話していた。
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