まちのたたずまいが観光資源 奈良県御所市(1)
古い町並みと寺社仏閣に感じる歴史の趣き
奈良県中部に位置する御所市。西は金剛山や葛城山が峰を連ね、東南部は丘陵、平地が広がる。奈良―大阪を結ぶ水越街道と市内を南北に貫く葛城古道が交差し、古くから交通の要衝として栄え、歴史や文化資源が市内各地に点在している。
市街中心部から少し外れた名柄(ながら)集落は古い時代に建てられた家屋が軒を並べ、趣のある風情を残している。なかでも中村家住宅は、慶長時代に建てられた民家で、御所市でもっとも古いものとされている。屋内の見学はできないが、建物を外から眺めるだけでも一見の価値はある。明治時代に建てられた久保家、ケヤキ・クスノキの巨木が隣接する末吉家など見るべき家屋は多い。名柄集落の近くを通る県道30号沿いには道の駅やカフェ、農産物直販所などがある。
歴史のある寺社仏閣が点在しているのも御所市の魅力の一つ。葛城一言主神社は「一言(いちごん)さん」の名で親しまれ、願いごとを一言だけ聞いてくれる神社として知られる。全国の一言主神を祀る神社の総本山でもある。高嶋神社は三間社流造りの本殿を備え、古代の豪族鴨族発祥の地で、全国の加茂社の総本山。安楽寺は鎌倉時代の建立と言われ「安楽寺塔婆」は国の重要文化財として指定されている。枯山水の庭がある極楽寺や千体石仏で有名な九品寺、記紀に登場する天孫降臨神話の舞台となったとされる高天彦神社なども、ぜひ訪れたい社寺だ。
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