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椋野市長に聞く日田の魅力 “触れ合い”が日田観光の真髄

日田市の椋野美智子市長に、江戸時代幕府の直轄地「天領」として栄華を誇り、現在まで脈々と受け継がれてきた日田の伝統文化や祭り、「水郷」と呼ばれる豊富な水が育む農産物や酒造をはじめとした産業、小鹿田焼などの伝統工芸、加えて、温泉の魅力をお話しいただいた。

市民のアイデンティティが誇り

―日田観光を代表するビジュアルとして、三隈川の鵜飼いと屋形船が思い浮かびます。市長は鵜飼いと屋形船に関して、どのような考えをお持ちですか。

日田の鵜飼は岐阜・長良川、愛媛・肱川と並び「日本三大鵜飼」のひとつに数えられています。

日田の鵜飼の特徴は「観光客と鵜匠さんとの距離がとても近い」ことです。鵜匠さんも気さくで屋形船のすぐそばに来て、観光客の質問や撮影に対応いただけ、鵜匠さんとふれあう体験が楽しめます。また、屋形船の周りを鵜飼が回りますので、すぐそばで楽しめることも日田の鵜飼の特色です。

「見るだけではない、触れ合える鵜飼」は観光客の皆さんにとっては、旅の思い出となる体験型の観光として満足いただいています。

地元では当たり前と思われていた日田の鵜飼ですが、外の方にとっては特別な価値をもつことが再認識されているように感じています。

また、水郷日田の象徴「三隈川」の景観は特に夕日の景観が美しく、屋形船の提灯の灯りが川面に映える情景は宿泊いただいてぜひ見ていただきたい魅力的な要素です。

三隈川で毎年5月20日過ぎの鮎漁解禁に合わせて開催される「日田川開き観光祭」は、日田最大の祭りですが、鵜飼と合わせて祇園囃子の演奏も楽しめ、日田盆地に響き渡る「体感花火」と一体となり、訪れたお客様は必ず感動する“キラーコンテンツ”となっています。

ただ、日田の鵜飼も後継者問題に直面しています。そのため、今年4月に文化財、文化振興、スポーツを市長部局に移して、観光と一体になって活用に取り組んでいます。

日田市の椋野美智子市長

祭りへかける市民、市職員の思いが
日田市の活力の源泉と話す椋野市長

―日田観光の特徴はほかにもありますか。

日田は豊かな水が豊富なことから、酒蔵や焼酎の蒸留所、ビール工場などが盛んで、また、日田下駄や家具などのものづくりのまちでもあります。これらを見学や体験できる産業観光ができるのも日田観光の特徴のひとつです。

そのほか、風情豊かな温泉地が点在しています。日田温泉、天ヶ瀬温泉、奥日田温泉、さらに、熊本県との県境にある杖立温泉も日田市になります。温泉単体ではなく、多様な観光資源とつなぐことが地域の魅力向上につながると考えています。

杖立川を望む

杖立川を望む

加えて、日田は「まつり」が多い地域です。先ほどの「川開き観光祭」をはじめ、7月は「日田祇園」、11月は「天領まつり・千年あかり」、春は「おひなまつり」が開催されています。訪れた方から「市民がまつりに対して熱いですね」とよくいわれます。企画から運営まで、市民や行政、企業や関係団体、高校生までが一体となって、てづくりで「市民主体のまつり」をつくりあげていることは、人づくりや地域づくりにもつながって、日田市の活力の源にあると考えています。

日田祇園山鉾集団顔見世

日田祇園山鉾集団顔見世

農産物についても、日田盆地の寒暖差の大きい気候や良質な水、肥沃な土壌で育まれ、梨やブドウ、スイカなど、時間も手間も惜しまない生産者のこだわりが最高級の品質につながっています。

特に糖度が高く、シャリ感が抜群のスイカは、全国で最も暑い日田の夏に育ちますが、近年「秋スイカ」も栽培されています。ハウスでの徹底した温度管理により栽培され、新しい日田のブランドスイカとなることを期待しています。

最近では若手農家が中心となって、首都圏や関西、福岡などで販売促進が行われ、私も一緒にトップセールスに飛び回っています。

このほか日田を代表する伝統工芸の小鹿田焼も外せません。電力もガスも使わず、その地の土と水の力、木と火を使って創り出す小鹿田焼は300年以上の伝統をもち、その素朴な美しさは全国から訪れるお客様で品薄状態が続いているほどです。

日田市の椋野美智子市長

日田市を代表する梨、ブドウ、スイカの
農産物を並べ笑顔

―最後に一言。

日田の森と川、歴史文化、おいしい農産物、モノづくりの技術、そして福岡空港や阿蘇くまもと空港から約1時間の地の利にめぐまれた「ひた」の多面的魅力を全国に、世界に発信し、「ひた」への人の流れの創出、産品の消費拡大に向けて国内外に向けたプロモーションを展開しています。このほかにも沢山の魅力や観光地がございます。宿泊いただき、日田の魅力をぜひ体感していただきたく、どうぞ日田においでください。

大分県日田市 旅のおすすめサイト

日田市観光協会「水が磨く郷」【大分県】

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