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下呂温泉観光協会・瀧会長に聞く データ駆使し持続可能な観光(2) 今年度は大規模イベント試行

BCPで危機管理マネジメント

―ほかにもありますか。

下呂温泉合掌村の合掌造りの「大戸家」に泊まり、水明館の旧掬水荘で紅葉ライトアップを楽しむ歴史的建造物のプレミアム体験は富裕層向けに商品造成を行い、すでにアジアの旅行会社から問い合わせがあります。

10月19日―11月24日には南飛騨健康増進センター一帯の森林公園で「南飛騨アート・ディスカバリー」を開きます。21組のアーティストによる現代アートと演劇やダンスなどの芸術表現のコラボ、岐阜の匠や健康、食をテーマとした体験型マルシェを開きます。

岐阜県では2023年より世界から選ばれる旅先となりえる地域・観光プログラム「ネクスト・ギフ・ヘリテージ―岐阜未来遺産」の認定制度をスタートさせました。下呂市小坂地域の観光プログラムが認定され、取り組みが始まっています。

さらに、ドイツ語で治療や療養のための滞在を意味する「クア」と場所・地域を指す「オルト」を加えた「クアオルト」のコースを下呂温泉合掌村周辺と萩原町の四季の森の2カ所を設けました。クアオルトは心拍数や血圧などを測定しながら傾斜地を歩くもので、市民や観光客の健康につながればと思っています。

これまでは「地域の宝探し」として、6エリアの魅力ある小さな素材を掘り起こしてきましたが、今年度は大きなイベント的なものに取り組み、その中から継続して実施できるものが見えてくることを期待しています。

―ハード面でも動きがありますね。

下呂温泉では中心市街地の整備予定があり、歴史的資源を活用した景観まちづくりとして旧松村屋旅館を改修し日帰り温泉入浴施設などへの再生や、旧湯ヶ淵があったしらさぎ緑地と阿多野谷河川敷を下呂温泉街のランドマークとしての再生などが検討されています。

また、災害を念頭に置いた取り組みも行っています。大雨による土砂災害や洪水による浸水被害、震度6クラスの地震が発生した場合を想定し、旅館組合の旅館が被災した場合に組合員間で被災の状況把握や情報共有、温泉施設などの相互利用、復旧支援のための人材派遣を明文化した簡易版BCPも昨年10月に中小企業庁より認定されました。

E―DMOを土台にエコツアーの造成を行い、人手不足を解消するため、トヨタ式カイゼンとDX化をあわせて生産性を向上させることが大事です。そこへBCPを使って危機管理をしていくという手法を使い、持続可能な温泉地を目指すというのが当面の考えです。

このほか農泊や下呂温泉の芸妓文化継承や芸妓ビジネスの開発にも取り組みます。下呂温泉郷マイスター研修も継続して行い、地域の人たちにとっては当たり前に存在する温泉という自然資源の有用さを理解し、誇りをもってもらうためには欠かせない研修です。研修に出席した市民の皆さんには「下呂温泉郷湯めぐりマイスター」の称号を付与し、研修で培った知識を仕事の現場で活用していただけたらと思っています。いくら観光事業者が頑張っても市民の理解と協力がなければ成り立たないのが観光ですから、この点はしっかりと抑えておきたいですね。

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