県境を越え住民交流&観光交流 徳島県三好市・香川県琴平町・まんのう町
徳島県の三好市観光協会(大平克之会長)と香川県の琴平町観光協会(漆原康博会長)は2018年に観光推進協定を結び、県境を越えて共同で観光振興を図っている。当初は観光協会だけの相互交流だったが、21年には琴平町の片岡英樹町長が三好市の高井美穂市長を訪問、22年には2市町の住民がそれぞれを訪れ住民交流にまで広がっている。さらに23年4月には香川県のまんのう町も加わり、関西からツアーを実施するまでに至った―。
ツアーを介して連携深化
ツアーは「さぬき夢桜と旅する講談―ニッポン再訪―四国で文化に浸る1泊2日バスツアー」と題して、関西の人気講談師、旭堂南龍さんが同行。三好市、琴平町、まんのう町の文化や自然に親しむ内容で、参加者は11人と多くはなかったが「四国のまんなかでニッポンを堪能する」2日間だった。
大阪を出て最初に訪れたのがまんのう町にある日本最大級の池「満濃池」。弘法大師ゆかりの池として知られるが、今は日本一の桜の名所にしようと池周辺に桜が植樹され、現在は3千本にまで増えている。
植樹を進めているのがNPO法人「さぬき夢桜の会」で、事務局長の石﨑洋一さんの案内で池畔を散策。残念ながら満開の時期とは外れてしまったが、池の説明や桜の植樹への思いを聞いた。その後、池畔の休憩所「かりん亭」前で桜の植樹をさせていただくことに。参加者一人ずつ桜の根に土をかけた。
参加者の一人は「これで毎年、この桜を見に来ないといけませんね」と早くも来春の再訪を誓っていた。
次は琴平町。にしきやで讃岐うどんを堪能し、琴平町公会堂へ。ここで三好市から来た住民らと合流し、琴平町の人たちが「金毘羅船々」の歓迎の舞で出迎えられた。公会堂では、旭堂南龍さんが「左甚五郎」「円山応挙」の演目を披露。参加者は熱心に聞き入っていた。このあと金刀比羅宮の門前町を散策しながら、琴参閣に投宿した。
翌日はまんのう町の菜の花畑を見学。車窓見学の予定だったが、あまりに見事な咲きっぷりにバスを降りて見学した。
県境を越えてJR池田駅からは、元バスガイドで三好市観光協会の太田由美さんがバスに乗り込んだ。情緒あふれる大歩危・祖谷のガイドを聞きながら、バスはかずら橋夢舞台に到着。全員で恐々かずら橋を渡り、琵琶の滝の音を聞きながら心を鎮めた。
レストラン大歩危峡まんなかで昼食をとった後、当地の春の風物詩である大歩危峡の吉野川にかかる「100匹の鯉のぼり」を見学。大歩危峡観光遊覧船では、青緑色の川面と高くそびえる岩を見上げながら川下りを楽しみ帰路についた。
今回のツアーは、名所にしようと植樹に取り組んでいるものの県外ではまだまだ知られていない満濃池の桜、風情ある建物で内部の設えも素晴らしい施設でありながら県外利用が少ない琴平町公会堂の2つを改めてクローズアップする試み。そこで三好市と琴平町との連携協定に、まんのう町を加えて関西からのツアーを使って、このエリアが持つ資源の豊潤さを知ってもらうと同時に広域連携や地域活性化につながることを目的に実施した。
「今回は満開の桜を見ることは叶いませんでしたが、まんのう町、琴平町、三好市が連携するとこんなに素晴らしいツアーができるなんて思いもよりませんでした。南龍さんの講談も素晴らしかったし、ツアーの中に講談が入るというのもいい企画だと思いました」といった声が参加者からあがっていた。
三好市観光協会の大平会長は「連携協定から4年目を迎え、関西からこういったツアーが催行できたのは、今後の取り組みとして意義深いものになった」。琴平町観光協会の漆原会長は「関西のツアーを媒体にして住民同士の交流ができるというのは新鮮でした」と話していた。
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