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「アジフライの聖地」を世界へ発信 友田吉泰・松浦市長に聞く(2) 元寇終焉の史実を生かす

遺跡と歴史文化 ロマンに触れるツアーを

―元寇の歴史について教えてください。

松浦は、暴風雨に見舞われ4400隻の船が鷹島沖に沈んだ元寇終焉の地です。この史実をもっと生かしたいと思っています。

博多にある元寇防塁は北条時宗が九州の御家人たちに命じて造らせました。蒙古の襲来から守った側の遺跡です。元寇防塁があったおかげで彼らは上陸できずに海上に戻り、鷹島沖に停泊中に神風が吹いたことで、ほとんどが沈んでしまうわけです。

でも鷹島に沈んでいる船の遺構は、冑や元軍の武器である「てつはう」「矢たば」であったりする、攻めの元寇遺跡になるんですね。鷹島に展示している石塊や武器を見ると、それを防ぐためには元寇防塁を築かないといけなかったんだと感じていただけると思うので、守りと攻めの元寇遺跡はセットで見ていただけたらと思っています。

2024年は、最初の蒙古襲来があった文永の役から750年を迎えます。これを待っていたかのように昨年10月、5年前に見つかった元寇船の木製の碇が引き揚げられました。それを見ると750年も前の船大工がノミで削った跡が残っており驚きました。

元寇時の碇

元寇時の碇

筥崎宮(はこざきぐう)にも立ち寄っていただきたい。蒙古襲来に打ち勝ったことから厄除け・勝運の神が祀られ、後世の名だたる武将が参詣しています。蒙古軍船の碇石や元寇の歌碑などもあります。楼門にある「敵国降伏」は有名です。この神社をルートに入れることで最後には勝運の神に守られたという着地点につながり、説得あるストーリーになります。元寇ゆかりの行政と連携して、歴史のロマンに触れるツアーができるのではと思っています。

実は、元寇で戦った九州の御家人の末裔が北部九州を中心に結構いらっしゃいます。神風が吹いたから元寇が退散したのではなく、我々の祖先が頑張ったおかげで守られたんだということを元寇とゆかりのある地域とネットワークをつくろうと今、松浦市から発信しています。蒙古襲来750年という節目を迎え、ネットワークを作ることで当時戦った鎌倉武士たちをリスペクトできるように、働きかけようと考えています。

すでに熊本県菊池市は菊池一族のプロモーションをしていますし、2020年には元寇サミットの開催や対馬市、壱岐市と3市で元寇の歴史を周遊するスタンプラリーを開催しました。博多をはじめ伊万里や有田などとも、750年に向けて連携の輪を広げることができれば、旅行会社の商品造成にもつながると期待しています。

たかぎ七彦先生の漫画で文永の役における対馬の戦いを描いた「アルゴルモア 元寇合戦記」という作品があり、アニメ化もしました。アニメファンにも750年の節目の年にはぜひ、元寇終焉の地、松浦に来ていただきたいですね。

―市内の宿泊施設について教えてください。

松浦には火力発電所があり、定期点検の人たちを安価で泊めるビジネスホテルが主流でした。その中で、福島という島に市が建てた宿泊施設があり、昨年から久留米市にあるベストアメニティという会社に運営をお願いし、リニューアルしてもらっています。我々も支援をし、露天風呂やサウナ、RVパークも整備していただきました。また遊休地になっていた土地にトレーラーハウスを20台設置し、フランクなキャンプ=フランピングができるようになります。この施設は観光で来られたお客様にお泊まりいただけるのではないかと期待しています。

―松浦市にとって重要な松浦鉄道について教えてください。

松浦鉄道94キロの中で一番車窓の風景がきれいなのは今福駅―東田平駅間です。特に鷹島口駅―前浜駅間は、かなり高い場所を走るので、車窓から鷹島、福島、伊万里湾を見下ろせます。夕陽が沈む時間帯もいい。ぜひ武雄温泉駅から佐世保線で有田駅まで来られて、松浦鉄道に乗っていただければと思います。JR筑肥線も面白い。唐津、伊万里を回って松浦へ入ってくるので、田や山などが続く田舎の原風景をお楽しみいただけます。

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長崎県松浦市 観光に関するお問い合わせ

松浦市地域経済活性課
〒859-4598 長崎県松浦市志佐町里免365
電話0956-72-1111

一般社団法人まつうら観光物産協会
〒859-4501 長崎県松浦市志佐町浦免1038-3
電話0956-76-8822

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