大地の記憶が紡ぐストーリー せとうち讃岐ジオパーク、香川県が推進
グルメ×ツーリズム
香川県では、ジオ(大地)に「食(海の幸)×観光(ツーリズム)」を掛け合わせた「せとうち讃岐ジオツーリズム」を推進している。讃岐うどんや瀬戸内海で育った海の幸などを「ジオグルメ」と称し、ジオツーリズムを推進している。
讃岐ジオパークでは、4度の地球大変動が育んだ唯一無二の讃岐と備讃瀬戸のジオストーリーが楽しめる。1億年前に地下でゆっくりと固まった花崗岩や、1400万年前の火山活動とその後の浸食による讃岐平野の飯野山のような“おむすび山”や屋島に代表されるテーブル上のメサなどの独特の景観が望める。
せとうち讃岐ジオツーリズムでは、瀬戸内海や小豆島近辺で育つ海の幸が魅力を形成する大きな要素。瀬戸内海は、約1万年前に海峡から海水と魚介類が流入して天然の生け簀に。速い潮流で鍛えられた筋肉質のタイのほか、砂地を好むタイラギガイ、タコなどが生息している。タイ飯やタコ飯は、瀬戸を代表する郷土料理となっている。小豆島は東に播磨灘、西に備讃瀬戸と接し、瀬戸と灘の境界にあるため、灘の幸と瀬戸の幸を一度に味わえる絶好の位置にあり、食の宝庫と言われている。
香川が誇る讃岐うどんにもジオストーリーがある。そのストーリーは300万年前に遡る。中央構造線の活動によって、徳島県境に讃岐山脈ができ、その北側には、水持ちの悪い扇状地の讃岐平野ができた。水持ちが悪い扇状地では、ため池を築造して稲作を行うとともに、裏作で小麦を栽培。扇状地の小麦・伏流水、瀬戸内海の塩・イリコが出会って讃岐うどんとなった。
香川県内では、ジオツーリズムの人材養成にも力を入れている。香川大学は、2010年度から公開講座として「ジオガイド養成講座」を開講し、香川県内のジオ資源の調査と資料作成を行うほか、2019年からは、香川大学から認定されたジオガイドが案内する「讃岐ジオサイト探訪」を入門スタートしている。
このほか、香川県観光協会が「さぬきアカデミー」で讃岐のジオサイトを紹介するほか、香川県観光振興課が「地域観光ガイド研修」で高松、東讃、中讃、西讃でのジオツーリズムの視点からの現地研修などを行っている。
各地域では、地域を知り、地域に誇りを感じられる観光ツアーを用意。西讃で備讃瀬戸と燧灘(ひうちなだ)の境界にある荘内半島から多島美と夕陽を見るジオグルメツアー、中讃でジオストーリーから讃岐うどんの多様性を学ぶジオうどんツアーなどが展開されている。
これらのジオグルメは、香川県の観光ガイドでも、ジオストーリーとともに見られる。
香川でしか体験できないジオツアーは、教育旅行としての活用や、四国運輸局、香川交流推進部、四国ツーリズム創造機構などが商品化を推進しており、新たな香川観光の可能性として期待されている。
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