地球の息吹を感じる室戸ジオの旅(4) 陸のジオ・段ノ谷山に原生林
巨大杉でマイスター目指す
室戸ユネスコ世界ジオパークは、海だけじゃない。室戸岬のインパクトの強さが目立つが、内陸部にも「これぞジオ」とうなる雄大な自然が横たわっている。山を見過ごしては、真の“室戸マイスター”とは呼べない。
室戸市最北部、佐喜浜町の段ノ谷山。日本有数の年間降水量を記録するこの地には、木々が生い茂り、シカやイノシシといった野生生物が生息するなど手つかずの大自然が広がっている。
その中心に座るのが「天然杉」。付加体で構成されている室戸の地層は水はけがよく、豊富な水分を持つという杉の生育には最適の環境がそろう。水をたっぷり吸い上げて成長を続けた杉は、巨木となって森に屹立している。この地に暮らす人々は森を守り、森と、杉とともに生活を営んできた歴史を持つ。
段ノ谷山の天然杉の巨木は30本以上。その群落は2013年、林野庁から「佐喜浜躍動天然杉郷土の森」に指定された。同庁の保護林制度は、現存するあるがままの森林や周囲の環境を保護しようというもの。制度のひとつ「郷土の森」はその地を地域で活用しようという制度で、佐喜浜ではガイドツアーを設定するなどして、段ノ谷山の大自然の魅力を伝えようと取り組みを進めている。
段ノ谷山のガイドツアーは「森の案内人」と一緒に。天然杉のことはもちろん、山と人との関係性やその歴史、地域の風習など“地元の物語”を聞き入り山を進む。
片道1・7キロの登山道が整備されており、幹回り12メートルというエリアで最大の杉「大杉」をはじめ、杉には「ハロー杉」「悟空杉」「たこ八杉」など愛称がつけられた巨木を求めて歩く。苔むしながらも独特の形を持つ杉の姿に神秘性を感じる。
所要時間は約5時間。国有林のため通常は入林許可が必要だが、ガイドツアーでは不要なのもうれしい。
また、「佐喜浜躍動天然杉郷土の森を守る会」のガイドプラン「躍動天然杉物語」も。料金は2―5人で1万円から。
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