世界が認めた避暑地 日光国立公園・中禅寺湖畔(1)
今年、国立公園指定から85年を迎えた日光国立公園。その中心となる中禅寺湖は、日本で最も早く開けた避暑地のひとつでもあった。日本が開国して間もないころから20世紀初頭にかけて、東洋の辺境に故郷を見い出した各国の外交官たちが別荘を相次いで建てた。その痕跡は、今も残るいくつかの洋館が私たちに往時を伝える。栃木県を代表する観光と言えば日光東照宮が思い浮かぶが、今回は中禅寺湖周辺の魅力をお伝えしたい。
欧州大使らの別荘建ち並ぶ
日光国立公園は、1934年(昭和9年)12月4日に国立公園に指定された。公園の総面積は約114ヘクタール。福島県、栃木県、群馬県の3県にまたがり、その9割以上は栃木県が占めている。
北関東最高峰である白根山(標高2578メートル)、古くから信仰の山であった男体山(標高2486メートル)などの山々、ラムサール条約登録湿地の奥日光の湿原や生息する動植物などを有する。
世界文化遺産の日光東照宮をはじめとする神社仏閣と国立公園に指定された大自然との融合がこの地域の大きな特徴となっている。
日光国立公園の中核をなす中禅寺湖。かつては夏になると外務省がこの湖畔に移ると言われたほど、ヨーロッパを中心とした各国大使館別荘が建ち並び、国際避暑地として賑わいをみせていた時代があった。全盛期は1920年から30年代と言われ、約40軒の駐日外交官の別荘があったという。
日光を初めて訪れたと言われるのがスコットランド出身で、長崎県のグラバー邸で有名なトーマス・グラバー。外国人として初めて中禅寺湖畔に別荘を構えたのはウィリアム・M・H・カークウッド、イギリスの外交官のアーネスト・サトウだったという。彼ら多くの外国人は、イギリスをはじめ欧州の故郷に似た景観と環境を有する中禅寺湖に魅了され、湖畔に集い、ヨットや釣りをして過ごした。
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