小栗判官と湯の峰の伝説 湯の峰・つぼ湯がよみがえりの舞台
「よみがえりの温泉」の由来
熊野の温泉が「よみがえりの温泉」といわれるようになった「小栗判官伝説」。この伝説を紹介しておこう。
「鎌倉大草子」によると、今からおよそ600年前、関東で上杉禅秀が乱を起こした際、常陸の国(茨城県)で城を構えていた小栗氏は上杉方に加勢したものの、足利持氏に敗れた。満重とその子・助重(小栗判官)は、小栗一族の住む三河の国を目指して逃れようとした。相模の国(現在の神奈川県)に潜伏していたが、盗賊に毒を盛られてしまい、照手姫や遊行上人に助けられた。ただ毒による病は重くなり、遊行上人の導きと照手姫をはじめ多くの人の情けを受けて熊野に詣で、権現の籠と湯の峰の薬湯の効き目で全快。小栗城15代当主となり、足利成氏と戦い敗れて滅亡する。
現在伝わる「小栗判官と照手姫」の物語は、戦いに敗れた小栗判官が相模の大富豪である横山家の長女・照手姫と出会い恋に落ちる。2人の関係に腹を立てた横山家は小栗判官に毒を飲ませ殺してしまう。地獄に落ちた小栗判官は閻魔大王の同情を買い蘇生の道として餓鬼阿弥の姿に変えられ、現生に送り返された。哀れな姿になって倒れていた小栗判官は通りかかった高僧に助けられ、木の車に乗せられ熊野の湯の峰を目指す。小栗の首には高僧により「一引き引いたは千僧供養、二引き引いたは万僧供養」と書かれた札がかけられた。
一方の照手姫。恋人を失った上、兄弟の策略によって流浪の身となっていたある時、首から札をかけた餓鬼阿弥を見て、亡き小栗判官の供養になればと湯の峰へ参詣の旅に出る。長い旅路の果てに辿り着いた照手姫は餓鬼を四十九日の間、つぼ湯に浸けて湯治させたところ、元の小栗判官に戻ったという。
今も湯の峰温泉には、照手姫が引き続けた木の車を埋めたとされる「車塚」や蘇生を果たした小栗判官が力試しに持ち上げたと伝わる「力石」が残る。このほか熊野地方には小栗判官にまつわる史跡が各所に伝わる。

照手姫が判官を湯治をさせたつぼ湯
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