十二社権現とわかやま12湯 九鬼家隆さん/和歌山観光と温泉に一言
わかやま12湯推進協議会の顧問で協議会の活動に対してアドバイスをしている熊野本宮大社の九鬼家隆宮司と、和歌山市出身でアニメ・新世紀エヴァンゲリオンの主題歌「残酷な天使のテーゼ」などを手掛けた作詞家の及川眠子さんから、和歌山の温泉や観光のあり方などについて聞いた。
新しい文化的祭礼が誕生
わかやま12湯推進協議会の皆さんとのご縁は、2024年に川湯温泉で開かれた「第4回わかやま12湯サミットin熊野本宮大社・川湯温泉」からになります。
湯の峰・川湯・渡瀬の熊野本宮温泉郷は1800年の歴史を持つ名湯です。9月に3温泉の代表者が「一番湯」を奉納する献湯祭が行われ、温泉の恵みへの感謝、温泉郷の繁栄、観光シーズンの安全祈願が行われています。
毎年春に行われる春の大祭の初日には、神職や稚児が湯の峰温泉で湯垢離(ゆごり)により禊(みそぎ)を行い、身を清めた後、山道を通り本宮大社へ参進する「湯登神事(ゆのぼりしんじ)」が行われます。この禊から祭礼を始める流れが「よみがえり・再生」という熊野の根本的なテーマとしてつながっています。
一方、温泉は全国各地から多くの人々を迎え、身体を温めて癒しを与え、そこから新しいスタートを切る場であるという価値観を持っています。それが、熊野の「よみがえり・再生」という価値観と響き合っています。歴史的に見ても、熊野詣は平安時代の皇室や貴族によって始まり、やがて庶民へと広がりましたが参拝者は身を清め、疲れを取るために必ず温泉に入っていました。
この歴史的、思想的な背景を踏まえ、わかやま12湯でも「献湯祭」を実施してはどうかと提案させていただきました。昨年4月に第1回献湯祭を開催し、熊野本宮大社の年中行事として組み入れさせていただきました。
熊野には「十二社権現」と呼ばれる信仰があり、12の神々に1つずつ湯を捧げる思想を踏まえたわけですが、「わかやま12湯」と「十二社権現」を結びつけることで熊野の「よみがえり・再生」の精神的遺産と和歌山の温泉資源を紡ぐ新しい文化的祭礼が誕生したと思っています。

九鬼家隆さん
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