豊かな海を守る 鳥羽市が初めてレッドデータブック発行
海洋生物の保全と地域振興に生かす
三重県鳥羽市はこのほど、周辺海域などで絶滅のおそれがある野生生物をまとめた「海のレッドデータブック2023~鳥羽市の絶滅のおそれのある野生生物~」を発行した。鳥羽市がこういったガイドブックを出すのは初めて。
3年間の調査で400種以上の動物、植物を「絶滅」「絶滅危惧」「準絶滅危惧」などに分類して掲載。鳥羽の海の現時点の状況を把握することをきっかけに、海洋生物の保全の役割を果たすとともに水産振興、観光分野におけるエコツーリズムや教育現場など幅広く活用していく。
レッドデータブックは絶滅のおそれのある野生生物に関する種名、生態、分布、現状、減少要因などの情報を記載した図書。1996年に主にIUCN(国際自然保護連合)が作成したものに始まり、現在は各国や団体などが多数作成している。
鳥羽市海のレッドデータブックは地元の大学や水族館の研究者など13人が調査し作成したもの。同市内の海などに生息する脊椎動物18種(海棲哺乳類、鳥類、爬虫類)、魚類30種、甲殻類34種、貝類295種、環形動物、無脊椎動物群21種の計419種を調査・評価対象にし、藻場や沖合に生息する種などについても評価、掲載している。
調査は、船上からの目視のほか、スクーバ潜水を用いた目視および採集、タモ網、投網などを使って実施。地元の海女や漁師を含む40人以上が協力した。
同書では、今回の調査で貝類の「ヒメアカガイ」が「絶滅」に唯一分類された。2011年に死んだ殻が最終された以降、確認されていない。鳥羽で初めて確認されたものとして、魚類でカジカ科の「ウツセミカジカ」、ハゼ科の「タビラクチ」「イドミミズハゼ」が掲載されている。
同書を作った鳥羽市観光商工課は「レッドデータブックは、今後変わりゆく自然環境を知る上で貴重な資料になると考えている。同書通じて、鳥羽の海の現時点の状況を把握することをきっかけとなれば」と話す。
同書は、700冊を発行。鳥羽市立海の博物館やECサイトAmazonで購入できる。サイズはA4判、298ページ。販売価格は7700円。
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