「おもてなしの心」を形に あわら温泉女将の会、酒造りや美活で開湯140年あと押し
山口会長に聞く 発会10周年で盛り上げ誓う
あわら温泉の旅館女将らでつくる「あわら温泉女将の会」が発会して、今年で10周年を迎えた。女将の会の第4代会長になる山口由紀さん(グランディア芳泉)に話を聞いた。
―発会のきっかけを教えてください。
長い間、女将会はなく、道で会えば会釈する程度でした。女将は宿の中にいるものだと思っていましたが、1992年にある女将が「みんなで一緒にご飯を食べましょう」と声をかけたことで、初めて女将が集まることになりました。そこでいろんな話が出て意気投合し、2カ月に一度集まっておしゃべりするようになったんです。当時は旅館組合青年部に所属する夫に嫁いだ若女将ばかりでしたので「若草会」と称していました。
97年に日本海で、ロシアのタンカー「ナホトカ号」の重油流出事故が起こり、三国湊やあわら温泉の宿泊客が激減しましたが、関西から多くのボランティアの方々が来られて清掃活動をしていただいた結果、思いもよらない早さで海がきれいになりました。そのお礼に女将らで、関西のボランティアの方々をはじめ、テレビやラジオなどのメディアを回りました。それ以降、県や市の方からキャンペーンを行う際にお声がかかるようになったんです。
2013年に北陸新幹線金沢開業に合わせて「おもてなしの心を形にしましょう」ということで、正式に「女将の会」が発会しました。温泉や料理でおもてなしというのは、どこの温泉地でもやっていますから、もっと具体的な形でおもてなししようということで13人の女将全員が利き酒師の資格を取り、おいしい料理に合うお酒をお勧めすることになりました。14年からは酒米の田植えから稲刈り、仕込みまで女将自身で行う純米吟醸酒「女将」をつくり、商標登録をとりました。
来年24年春には北陸新幹線福井・敦賀延伸がありますし、女将会発会10年を記念して2月には普段日本酒に馴染みのない女性をターゲットにした甘口のスパークリング日本酒「OKAMI no AWA」を開発、販売を始めました。
―日本酒以外にも取り組んでおられますね。
女将会にはお酒、ヨーガ、発酵の3チームがあります。それぞれ活動し毎月1回開く定例会で報告会を行っています。日本酒に関しては「女将」を醸造したあとの酒粕を活用した「おかみのまろやかへしこ」も開発しています。また、内側から美しく輝くことを応援するプロジェクト「OKAMIと美活プロジェクト」に取り組んでいます。「あわら温泉朝ヨーガ」もその一環です。
―大忙しですね。
はい、皆さん忙しくなさっていますが、あわら温泉は今年開湯140年を迎え、8月から1年間、様々な取り組みを行いますし、来春には新幹線延伸もあります。これまで以上に忙しくなりそうですので、女将会一丸となってあわら温泉を盛り上げていきます。
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