人との関わりが深まる下呂の新しい旅
まち磨きの成果がエコツアー
10年以上前、大分県が全国のタウン誌100社を招待し、県内10カ所の観光地を見てまわって各誌に掲載してもらう取り組みを行っていたことがある。
大分県と別府市、県内観光協会らが協力し、10年ほど続いた。10年の成果はタウン誌の記者らが集合場所の別府温泉に来るたびに地元の人たちに「ただいま」と言う親密な関係に表れていた。
記者は途中からの参加だったが、常連組に入れてもらった。そこで感じたのは、いくら素晴らしい温泉や観光素材があっても最終的には人との関わりを求めて人は旅をするということだった。それは、それぞれの観光地の担当者が地元を案内し、一緒に泊まるという仕組みを作り上げた賜物だった。当時の行政や観光関係者に改めて敬意を表したい。
そう思っていたところ、下呂市の全国エコツーリズム大会のエコツアーがそれをやってのけた。趣の異なる魅力を持つ市内5地区の観光素材を個性ある魅力たっぷりのコースに仕上げ、地域をこよなく愛する人たちがガイドについて回った。
2004年に5つの町村が合併してできた下呂市。当初は行政や地域住民が指向する横並び主義がはびこり、均一型の観光誘致に終始していた。それから16年。その間、関係者は地域住民一人ひとりと語り、理解を求めるという地道な活動を重ねてきた。
その成果が今回のエコツアーを生んだことになったのだと思う。もっとも細かい調整は必要で、さらに磨きあげたツアーにしていくことが求められる。しかし、その磨き上げたツアーを一般観光客はもちろん、下呂市の取り組みに共鳴する旅行会社とともに、こだわりのエコツアーとして成就してほしい。
いまだに渦中だが、コロナ禍を経て従来型の大口団体はないかもしれない。ただ、中小旅行会社は親密な関係にある顧客を持っている。人との関わりが旅の醍醐味である限り、下呂市と中小旅行会社は協働できるはずだ。
タウン誌は当時のような勢いはない反面、元気な中小旅行会社はその役割を果たせるのではないかと思う。下呂温泉観光協会の瀧会長が常に話す「観光は地道な活動以外にやることはない」からだ。
今年4月に就任した山内登新市長は、観光協会が進めるエコツアーやSDGsへの取り組みに歩調を合わせた取り組みに注力すると話しておられる。官民一体となった下呂観光は今回の全国大会を機に、新たな一歩を踏み出した。
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下呂温泉旅館協同組合【下呂温泉】
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