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長期滞在化へDMCに挑戦 道後プリンスホテル、観光庁公募で四国唯一

「道後×しまなみ周遊滞在促進誘客ビジネスモデル」

観光庁が全国の宿泊施設を対象に実施した公募事業で、道後プリンスホテルの提案がこのほど、四国で唯一採択された。事業は「新たなビジネス手法の導入による宿泊業を核とした旅行サービスの提供促進に向けた実証調査」。宿泊事業を地域の観光産業・旅行消費の核となる業種と位置づけ、新たなビジネス手法を導入し、宿泊施設を中心に地域全体に波及価値を生み出す取り組みを支援するというもの。全国でわずか9つしか採択されない狭き門だった。

採択された事業は「宿自らが地域のDMCに挑戦!『道後×しまなみ周遊滞在促進誘客ビジネスモデル』」。自治体の枠を超えた周遊観光を緑ナンバー取得のバスの活用やコンテンツの磨き上げを行い、宿泊客に新たな旅行サービスを提供、愛媛県内での長期滞在化を促進する。

しまなみエリアでは、日本遺産「村上海賊」の認定ストーリーをベースに、新たな商品開発に挑戦。クルーズやサイクリング需要が落ち込む冬期のコンテンツとして、伊予一宮大山祇神社で神職による特別正式参拝や、ミカンやイチゴ狩りの商品化を計画している。

一方、宿内コンテンツの高付加価値化にも取り組み、消費拡大と滞在の長期化を狙う。具体的には・砥部焼の窯元から伝統工芸士を招へいし、宿にいながら砥部焼の歴史や価値を学び、伝統工芸士の実技指導による制作体験・柑橘王国愛媛では柑橘ジュースによって酸味や甘み、コクが違うことから、地酒に加えて料理とのペアリングを提供するプランを造成。高単価化と消費拡大を促す。

道後プリンスホテル

柑橘ジュースと料理のペアリングプランも

また、宿には生産者と宿泊客をつなぐ役割があるとのコンセプトのもと、道の駅や物産展の要素を取り入れ、全国に先駆けてホテル内に「宿の駅・道プリマルシェ」をオープンする。商品化への苦労や工夫を生産者が県外宿泊客に直接案内することで、商品の価値が伝わり、販売促進や販路開拓のほか、商品やパッケージの改良につながるものと期待されている。

同ホテルの織田祐吾執行役員本部長は「愛媛への旅は1泊2日が主流。全体の滞在日数を増やさないと経済波及効果は限られてきます。この事業を通して関係事業者や行政、大学などと連携しながら『愛媛は1泊や2泊では物足りない』と言われ、旅行市場から再評価されるムーブメントをつくりたいと思います」と話す。まずは、道後・しまなみのプラットホームを作り、近い将来には広島エリアとの連携も見据え瀬戸内エリアへの周遊滞在型誘客ビジネス創出を目指すという。

また「生産者は様々な愛媛の価値を創造されていますので、宿の駅を活用し販路を広げてほしいですね」とし、生産者と連携した体験ツアーなども提案していきたい、と熱い思いを語っている。

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