全国エコツーリズム大会in下呂が開催 市民が磨いた“宝物”を生かす
下呂市エコツーリズム推進協議会(瀧康洋会長=水明館)は11月15、16日の2日間、下呂交流会をメーン会場として「全国エコツーリズム大会in下呂」を開催し、関係者280人が参加。下呂市の魅力ある観光素材の発表やエコツアーを実施し、持続可能な観光のあるべき姿を提示した。また、住民の力で約2千の地域の宝物を掘り起こしたことで「市民」を宝物として位置づけ、人を重視した取り組みを行っていくことが報告された。
下呂らしさE―DMOが後押し
大会のテーマを「Withコロナ禍を生き抜く 歴史的な名泉観光地の未来―宝を活かすエコツーリズムと、市場に基づくDMOの融合」とし、地域住民が守り伝えてきた地域資源を活かした素材をDMOによるマーケティングを連携・調和させた取り組みを発表した。
初日の15日に開かれたシンポジウムの冒頭、瀧会長があいさつ。「地域の自然保護や文化を大切にし、歴史に敬意を払い、市民を宝物として、地域の健全な発展を目指したい」と話し、DMOと地域資源を活用した地域づくりを行っていく考えを強調した。
下呂市の山内登市長は「2004年に5つの町村が合併して下呂市が誕生しました。下呂地区には日本三名泉の温泉や地歌舞伎、萩原地区には飛騨街道の宿場町で歴史の風情、金山地区ではレトロな街並みで路地裏散策や巨石群、馬瀬地区では日本で最も美しい村連合に加盟する里山の原風景、小坂地区では御嶽山の麓で自然を楽しみながら200以上の滝めぐりなど5つの地区が持続的に地域の宝を保全・活用しエコツーリズムを推進しています」。
さらに下呂温泉観光協会が9月、一般社団法人SDGs協会(大阪市)から事業認定を受けたことにも触れ、「全国にSDGsをからめたエコツーリズムを推進したい」と訴えた。
基調講演は「ディープな日本の森と山を楽しむ―癒しと健康・安心・安全を科学する」をテーマに医師・登山家である今井通子さんが講演。医師の立場から科学的な視点から森林浴や日光浴による健康効果など自然とのふれあいが、いかに健康増進につながるかを説明した。
続いて行われたトークセッションでは瀧会長や温泉ビューティー研究家の石井宏子さん、東洋大学国際観光学部講師の内田彩さんが「E―DMOによる名泉観光地の未来―美・食・歴史などの視点から」をテーマに意見交換。
瀧会長は「コロナ禍で年間の観光客は70万人ほどになりそうだが、外国人観光客が減少したからで、国内客の数字は落としておらず、リピーターに支えられていることがわかりました。各地域の宝を共有化し、コミュニティ化できたことが結果として表れた」と分析。下呂市に点在する温泉をエコツーリズムの資源とし、5地区をエコツアーポイントして宿泊型のエコツーリズムを目指す方向性を示した。
内田さんは「下呂市内には数多くの歴史や文化があるため、人との関わりも含めて滞在する仕掛けづくりが必要」、石井さんは「下呂市内にはニッチな魅力ある素材が点在しています。多くの人に来てもらうのではなく、下呂の魅力を楽しもうとする人を育てていくことが大事」と話した。
「下呂の宝」発表では5地区の代表がそれぞれの宝を発表。下呂地区は温泉の保護と質を確保する仕組みとしての温泉集中管理システム、金山地区は飛騨金山の夏まつりのヒロイン・黄金姫伝説、萩原地区は下呂市無形民俗文化財の闘鶏楽、小坂地区は200カ所以上ある個性豊かな滝を紹介する小坂の滝めぐり、馬瀬地区は日本一といわれる鮎や里山景観などを紹介した。
また益高地区からは益田清風高校の生徒が、ふるさとの歴史や伝統文化を後世に伝えていくには何が必要なのかを考える、といった問題提起も行った。
翌16日は5地区でエコツアーを開催したあと、竹原の鳳凰座で地歌舞伎の鑑賞とツアー参加者からのツアーの感想の発表が行われた。
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下呂温泉旅館協同組合【下呂温泉】
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小川屋【下呂温泉】
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