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三女将で三色 個性的な三宿/美作三湯

「季譜の里」「奥津荘」「八景」

「季譜の里」「奥津荘」「八景」の最新情報と特徴をお伝えしたい。

「季譜の里」は館内のいたるところに活けられた季節の花、色鮮やかな旬の料理が自慢で、花と料理で心を癒す宿。コンセプトを「花を楽しむ、なごみの宿」とし、フロント前に設えた大きな活け花をはじめ、館内76カ所の活け花を華道家の黒田幸志さんが担当。季節ごとにうつろう草花の美しさを楽しめるようにしている。

女将の佐々木裕子さんは「祖父の佐々木毅は旅館だけでなく、湯郷温泉に花を植え、世話をする“花咲爺さん”でした。花を大事にすれば旅館はなんとかやっていけるということを祖父から学びました。旅館を続けていられるのはその気持ちを持ち続けられているからだと思います」。

社長の佐々木慎太郎さんも「自分も先代に引き続き、花咲爺さんであり続けることで会社を発展させたい」。

季譜の里

フロント前の活け花は季譜の里の顔

「奥津荘」は昭和2年に建てられた木造建築旅館。同館は国内でも珍しい足元自噴の湯の温泉で、源泉の上に浴槽があり、毎分247リットルの湯が湧出している。浴場が「鍵湯」と呼ばれるのは江戸時代、津山藩の初代藩主・森忠政が湯治湯として利用するため鍵をかけ、村人や部外者が利用できないようにしたことから呼ばれるようになったためだ。

第29代内閣総理大臣の犬養毅や世界に誇る日本人版画家・棟方志功にも愛され、2人の書や作品が残っている。

2018年11月、同館本館が「唐破風の玄関上に大屋根の妻面を重ね、一階前面に並んだ格子や出桁造りの深い軒など立体感のある外観で、温泉街の歴史的景観の核をなしている」と評価され、国の登録有形文化財に登録された。このほど認定の証となるプレートが届き、玄関前の日帰入浴の案内板の下に設置した。

鈴木治彦社長は「これまで以上に地域の歴史的背景を学び、景観を維持し、建物を後世に残していく取り組みに注力したい」と話している。

奥津荘

国有形文化財のプレートを示す
奥津荘の鈴木社長

「八景」は約20年前に「お客さまとともに歳を重ねる宿」としてスタート。民宿のような温かさとていねいに出汁をとって手をかけた料理で宿泊客を迎えている。

同館の料理のテーマは「野菜が主役」。夕食と朝食を合わせると、50種類以上の野菜を用いるのが大きな特徴。精進料理や山菜料理とも違う同館ならではのスタイルを確立しており、リピーターのほとんどが「もう一度、あの料理を食べたい」と希望するという。またお客の年齢や趣味に合わせたコースや料理変更の提案も行い、料理に関するこだわりは強い。

最近では貸切で八景を利用するケースも増えており、その際も好みに応じた料理を提供する。

八景は湯原温泉のもっとも奥にあり、同温泉を代表する風景である木造の吊り橋と砂湯の目の前にある。この景観を全国に発信することが同温泉のアピールにつながると考えた女将の上塩浩子さんは6月上旬から自費で吊り橋をライトアップ。「ライトアップされた吊り橋はきれいだと思うし、湯原温泉のイメージアップにつながると思って」と話している。

八景

八景と砂湯をつなぐ吊り橋

岡山県美作三湯 旅のおすすめサイト

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