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長野木曽・桜紀行 御嶽山観光復興を桜が祝う

登山復活と高山―木曽―伊那桜紀行

長野県木曽地方の春は遅い。雄大な霊峰・御嶽山の麓に抱かれた木曽谷の冬は長いが、そのぶん、訪れる春のありがたみは深いのだ。今シーズンの木曽観光の喜びは、その春を告げる花々を愛でること。それは、復活へ着々と前進を続ける地域の誇り、御嶽山観光を通して思う存分体感できる。

御嶽山は2014年9月の噴火という打撃もあったが、現在警戒レベルは「活火山に留意」の「1」にまで引き下げられている。昨年9―10月には木曽町黒沢ルートから山頂剣ヶ峰までの登山が解除。さらに安全対策として剣ヶ峰頂上の山荘跡地に40人程度を収容するコンクリート製の箱型のシェルター(避難壕)が3カ所に設置され、多くの登山客が訪れた。

今年も開山式は7月1日。これにあわせニノ池山荘のオープンや、山小屋の営業期間中、安全対策が確保できる条件で10月初旬までの約3カ月にわたり、規制区域の解除
を予定している。登山が解禁になったことで旅行会社のツアー商品の造成にも期待がかかる。

御嶽山

噴火から5年目。
今夏は規制区域も解除され
登山ツアーの需要が見込まれる
御嶽山を望む

さらに、2月13日に開かれた御嶽山火山防災協議会では「注意が必要」としていた3つの噴気孔のうち1つを対象から除外する可能性を示唆。今後の状況から、秋ごろには王滝口側からもシェルター新設したうえで王滝頂上までの解除を目指す方向という。

木曽おんたけ観光局では「登頂できる期間は山小屋の営業期間中ですが、噴火から5年目を迎え、ようやく明るい兆しが見えてきました。火山を学び、日本で一番安全対策が施されている山、霊峰御嶽山にぜひ来ていただければ」と話している。

そしてその前に迎える春は、花を愛でる旅に出かけよう。17年春の国道361号線「高根トンネル」の開通で交通の難所が解消し岐阜県高山市とのアクセスが向上、高山―木曽―伊那にまたがる桜紀行へスムーズに出かけられる。

旅の拠点となる木曽では桜の銘木が待つ。地元の英雄・木曽義仲と妻・巴御前ら一族の菩提寺である徳音寺では、4月下旬―5月上旬に境内の桜が満開に。中山道の宿場町、木曽福島では木曽氏の菩提寺である興禅寺に義仲お手植えの「時雨桜」の2代目があり、幽玄かつ鮮烈な春の美を伝えてくれる。4月中旬―下旬が見ごろで、例年夜間ライトアップも。宿場町特有の古い町並みもあわせて春のまち歩きを楽しみたい。

木曽義仲お手植え時雨桜

興禅寺境内の「時雨桜」は
木曽義仲お手植えの2代目

伊那のローメンや木曽のそば、高山のラーメンと「山麓一の麺街道」と打ち出した国道361号線の観光ルートでは、伊那市の高遠城址公園の桜、高山市朝日町の名桜と桜の名所が連なる。4月中旬からゴールデンウイークにかけてが見ごろ。木曽福島からは高遠まで車で50分、高山市内までは100分。木曽を拠点に桜紀行へ繰り出そう。

春花紀行 旅のおすすめサイト

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