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韓国・釜山と慶州へ行く 初の隣国で未知の体験(2)

おおらかな世界遺産

釜山には海雲台を含め、海上にゴンドラリフトが架かっていたり、全長7キロを超える広安大橋を正面に望むなど、特徴の異なる8つのビーチリゾート(海水浴場)がある。

海雲台から隣の松亭(ソンジョン)ビーチまでは、廃線を再利用した観光電車、海雲台ブルーラインパークが結んでいる。こちらも20年に開業した。

海岸線の全長4・1キロを約30分かけてゆっくり走る。線路に沿って遊歩道があり、ハイキングにもよさそうに見えた。

松亭ビーチでは多くの人がサーフィンをしていた。高層ビルもなく、のどかな雰囲気だ。

松亭ビーチ

サーファーが集まる松亭ビーチ

ビーチで、同年配の韓国人女性に話しかけられた。こちらはアンニョンハセヨとカムサムニダだけ。女性は幾つか日本の地名を言い、日本に旅行をしたことがあると伝えてくる。女性は毎日3回散歩しているという。一緒に歩きながら、散歩したくなる街だと思った。

「コピー」と誘われ、素直にカフェのテイクアウトでアイスカフェオレを御馳走になった。駅まで女性に見送られ、再びブルーラインに乗った。

今度は途中下車し、同じ軌道の地上3メートルほどのところに敷かれたレールを走るスカイカプセルに乗り換えた。4人乗りの観覧車のような乗り物で、人が歩くほどの速度でゆっくりと走る。約20分、海を眺めながら始発駅まで戻った。

翌日はバスで1時間ほどの慶州に移動した。韓国の新幹線KTXを利用すれば、釜山から慶州までは30分ほどだそう。

慶州は新羅王朝1千年の都があった都市だ。新羅は紀元前57年に興り、935年に滅亡するまで、この地に王宮を置いた。

この間、668年までに百済、高句麗を滅ぼし朝鮮半島を統一した。朝鮮半島の3国が、どこに位置していたのか、どの国が統一したのか、あいまいだった隣国の歴史の一部が記憶に定着した。現地に行くのはいい。

慶州には3つの世界遺産があり、そのうちの慶州歴史遺跡の古墳群には23基の円型墓がお椀を伏せたように集積し、全体が公園として整備されていた。草に覆われた一つひとつの古墳には柵があるわけでもなく、登っている人はいなかったけど、おおらかな世界遺産という印象を受けた。

古墳群の映えスポット

古墳群の映えスポット

古墳の1つ、天馬塚は内部が公開され、人が貴金属でできた副葬品とともに埋葬されていた様子や、納められていた馬具のレプリカを見ることができる。馬具の本物は慶州博物館に展示されている。

馬具は泥除けで、復元されたレプリカが美しかった。連想したのは、子供の頃に発掘され一大考古学ブームを引きおこした飛鳥の美人画のこと。ともに発掘・発見されたのは1970年代のことで、韓国でも大騒ぎだったのだろうか。

天馬塚で発掘された馬具

天馬塚で発掘された馬具

ここから歩ける距離に月精橋という魅かれる名前の橋が架かっている。歴史を感じる佇まいだったけど、2018年に再建されたものだ。ちょうど夕暮れから暗くなるころで、橋をかすめて月が上っていった。

橋はライトアップされ、多くの観光客が映える橋にスマホを向けていた。

月精橋に月が上る

月精橋に月が上る

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