2年半ぶりのタイ―街も人も活力取り戻す(1) 地域に浸り過ごす観光/プーケット編
6月8―10日にタイのリゾート地プーケットで開かれたTTM+2022(タイランド・トラベルマート・プラス2022)を取材で訪れた。海外に行くのは2019年夏の家族旅行以来、2年半ぶり。その時も行き先はタイで、プーケットとバンコクに滞在したのも今回と同じだった。「コロナで街や人はどう変化しているだろう」というより、久しぶりのタイが楽しくて仕方ない。現地、日本語ガイドが案内してくれたプーケットとバンコクは、街も人も活力を取り戻しているように見えた。(取材協力・タイ国政府観光庁大阪事務所)
日本人の再訪を待つ人々
プーケットを案内してくれたのはチャイさん。コロナ禍の2年間は日本語ガイドの仕事がなく、実家のチェンマイに戻り、親せきの仕事を手伝っていた。「日本語を話す機会がなく、忘れていないか心配です」。欧米からの旅行者のように日本人旅行者が早く戻ってくれるかは気がかりだが、仕事が再開できて嬉しそうだった。
ホテルがあるプーケット中部のスリンビーチ・エリアから、バンでプーケット最北部のバーン・ター・チャット・チャイ村へ。ここではアフターコロナ観光でタイ政府が力を入れるコミュニティ・ツーリズムに浸ることができる。地域の人たちの生活圏でのんびりと半日を過ごした。
まずは道路脇の簡素な建物でバティック(ろうけつ染め)の絵付けをした。あらかじめ蝋で下絵が施されている一辺40センチほどの正方形の生地に、絵筆で塗り絵のように色を付けていく。手先を使う体験モノは苦手で、最初は元気が出なかったけど、蝋の線のおかげで色がはみ出すこともなくうまく塗れて元気が出てきた。20分ほど無言で作業に集中し、最後に署名を入れて完成させた。絵付けしたバティックは、この村での次の体験が終わるころ乾かして届けてくれた。
バンで近くの海岸に移動し、小さなエンジンボートでロブスターの養殖生け簀を訪れた。ロブスターは村の特産品で、1つの生け簀で350匹程度を養殖している。出荷する1キロ程度に成長するまで約8カ月、ここで養殖する。
出荷先はすべてプーケット内のホテルやレストラン。コロナ中は需要が激減したが、養殖の数を減らし、なんとか乗り切ることができた。いち早い国際観光再開で、すでにコロナ前の水準まで需要が戻っているという。プーケットで食べるロブスターはプーケットの海で育っている。
村ではマングローブに囲まれた入江の浅い海を船頭が漕ぎ進む小さなボートにも乗った。ボートは中央に白いクロスのかかったテーブルとベンチシートが置かれ優雅な装い。クマのプーさんのぬいぐるみがテーブルに置いてある意味は分からなかったけど、インスタ映えすると若いタイ人旅行者に人気を得ているそうだ。
再びバンでプーケットタウンまで南下した。「ビーチではないプーケット」を代表する、訪れるべき歴史あるプーケットの街だ。
16世紀以降、プーケットはスズの採掘とヨーロッパへの輸出貿易で栄えた。そのころ出稼ぎで中国の福建省から多くの移民がプーケットに渡り、彼らの末裔はプラナカンと呼ばれる。商人として成功した人も多く、タイ人とともにプーケットタウンを開拓した。今でもオールドタウンと呼ばれるエリアには19世紀以降に建てられた建物が多く残る。
こうした歴史やオールドタウンの建物群が、間口が狭く奥行きが深い町屋スタイルの建築様式だということを後で訪れたプラカナン博物館で知った。オールドタウンでは建物の正面がピンクや水色、クリーム色といったカラフルな色で塗られていた。街の特色を作ろうと10年ほど前に塗り分けたそうで、やはりインスタ映えする景色として訪れる人を増やしている。
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