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2年半ぶりのタイ―街も人も活力取り戻す(2) “国を開く”を実感した市街/バンコク編

インスタ映えスポットが人気

バンコクを案内してくれたのは60歳代後半のスパットさん。名前を覚えるのは苦手だけど、スパットさんが両手を前に出す仕草で「スパットです」と自己紹介してくれたおかげで、今でも思い出せる。スパットさんもコロナ禍の2年はガイドの仕事がなく、貯金を切り崩して生活したが、以前は日本語ガイドとして楽しく充実した時間も長く過ごした。

「オリエント急行でフワランポーン駅(タイ国鉄の起点駅)に着く日本人旅行者を、毎日大型バスで迎えにいっていました」

プーケットではバンだった観光の足は、地下鉄と高架鉄道に変わった。1990年代に初めて訪れたバンコクに、鉄道は地面を走る国鉄しかなかった。だからバンコク観光は徒歩かタクシー、トゥクトゥク利用だった。それが今ではバンコクの観光スポットには、ほぼ電車で行けるようになっている。個人旅行ならスワンナプーム国際空港やドンムアン空港とバンコク市街地も鉄道で行き来できる。ちなみに高架鉄道は世界的人気音楽グループと同じBTS(バンコク・マス・トランジット・システム)の愛称で呼ばれている。

ワット・パークナム(パークナム寺)は2021年に開眼したばかりの高さ69メートルの黄金色の仏像が、最寄駅に近いBTSの車窓からも望める。仏像と並んで建つ12年に完成した5階建ての大仏塔の最上階には、4本の円柱に支えられたエメラルドグリーンを主とする丸い天井画があり、この数年、やはりインスタ映えが人気になっている。天井画の下にはミャンマーから来た女性4人が座っていて、お祈りの後はスマホをかざしたり、静かに会話をしたり過ごしていた。天井画は確かにキレイだったけど、天井画だけだったら、あんなにたくさん写真を撮らなかったかもしれない。

パークナム寺の内部

パークナム寺の内部

パークナム寺

昨年開眼した大仏像

夕方からはナイトマーケットに向かう。ラマ九世駅近くに半年ほど前にオープンしたジョッドフェア・マーケットだ。1千を超えるカラフルなテント群がインスタ映えすると人気を集めたラチャダー鉄道市場がコロナ禍で閉場に追い込まれてから、わずか半年後の21年11月末に同じ運営会社が場所を変えて開場した。マーケットの再開は、「マイペンライ(なんでもない、大丈夫)」と苦境を乗り越えていくタイの人たちの活力を示しているのかもしれない。

ジョッドフェア・マーケット

半年ほど前にオープンしたジョッドフェア・マーケットの
カラフルなテント群を見下ろす

隣接するショッピングセンターの駐車場から屋外市場のテント群を写してから、雑踏に足を踏み入れる。雑貨や衣料品などの店に囲まれて、飲食店の数も多い。ここでは調理する人も食事を楽しむ人も楽器を演奏している人も、コロナ禍の2年間を取り戻すかのように一生懸命に見えて居心地がいい。市場や国を開くというのは、こういうことかと肌で感じる。

ジョッドフェア・マーケット

賑わう市場内

バンコク滞在の最終日の午前には、チャトゥチャック・ウィークエンドマーケットを訪ねた。こちらは昼のマーケット。週末だけに開かれるバンコク最大の公設市場で、縦横に走る小道に沿って1万2千軒以上のショップや露店が軒を連ねる。セクションごとに商品カテゴリーがあり店舗マップも用意されているが、感覚的には「2度と同じ店には戻れない」巨大な市場だ。ここでは店との出会いは一期一会と覚悟し、買い物は直観に従おう。

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