新しい色合いへのいざない―タイ紀行(4) 古都チェンマイ―信仰と象に多様な文化を学ぶ
荘厳な黄金は「天国」 象と生きる暮らし
ドイ・ステープ寺院は、快晴の青空のもと荘厳に黄金に輝いていた。モノトーンの古刹を見慣れた日本人からは、時に金色の寺院が陳腐に見えることがある。でも、違った。
「タイのお寺は天国をイメージしています。それはいつも金ぴかです。色が剥げたら塗り直します」。ガイドのジェーンさんが言う通り、人々が寺院に求める天国の景色は神々しいものだった。
ここではジェーンさんから、「タイの仏教はお釈迦様だけを信仰します」と、日本の仏教との違いを教えられた。生まれた日の曜日ごとに守護仏があり、タイの人は特に念入りに参拝することも。スマホで調べてもらい、自分が生まれたのは月曜日だったと初めて知った。月曜日の守護仏を教えてもらい、お願いごとをした。上等とは言えないお願いごとは、当日の夜のナイトバザールで叶えられてしまった。次回のチェンマイでは、お礼まいりでドイ・ステープ寺院を訪ねなければ。
木材運搬など、かつて多くの象が使役していたタイ北部。人と象がともに暮らす文化が根づくチェンマイ郊外には、今は観光アクティビティとして象に触れ合えるエレファント・キャンプがある。
翌日、男性ガイドのポンさんと訪ねたのは渓流沿いの施設に約80頭の象が暮らす最大規模のキャンプ。豪快な象の水浴びから始まり、象のお絵かきやPK合戦などのショーに拍手した。どのように松の絵など、どのように描かせているのだろう、見事なものだった。ここでは象に乗って30分ほどのトレッキングもしてきた。
ただ、国際観光客が増え、価値観や時代が変わるなか、象の芸の見物も無邪気なだけではいられないようだ。エレファント・パークの入口近くには、「なぜ象は鎖をつけられているのか」「なぜ象使いは鋭く尖ったフックを持っているのか」といった質問への答えが英語で書かれていた。そうした声に応えるかのように、チェンマイには1日から数日、自分の象を決め、象使いと一緒に世話ができる施設もあり、欧米人を中心に人気を集めている。
ガイドのポンさんが、エレファント・キャンプのゲートに描かれた干支の絵を指しながら、「チェンマイでは、干支の最後は亥(豚)ではなく象さんです」と、十二支の最後の絵を指差しながら教えてくれた。
「歴史的に、タイでは象さんは労働力として使われてきましたが、同時にとても大切にされている動物です」
タイに行くと、今でも象をデザインしたお土産を買ってしまう。今回は象の糞(ふん)から作った紙のメモ帳、象の飾りが組み込まれたブレスレット、象がぶら下がったキーホルダーを選んだ。
(東京総局長・阿部政利)
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