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「出雲國たたら風土記」の旅・島根県安来市(1) 定番化へモニターツアー

日本遺産「出雲國たたら風土記」に認定され、日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」にまつわる歴史文化が色濃く残る島根県安来市。ヤスキハガネが今も主要産業の一つであるなど、たたらの物語は現代へ脈々と紡がれている。安来市観光協会では、市内の特色を前面に打ち出した着地型旅行商品を企画。3月12日に日本遺産の構成文化財などをめぐるモニターツアーを実施した。

日本遺産の構成文化財めぐる 安来市観光協会が企画

出雲地方は約1400年前から、砂鉄と木炭を用いる「たたら製鉄」が盛ん。なかでも安来市は、生産された鉄を集積し全国へ送り出す港があり、鉄の交易によって多くの富と文化が蓄積された。その歴史を俯瞰し体感できるのが、ツアーで最初に立ち寄った「和鋼博物館」。同館の高岩俊文学芸員の案内で、たたら製鉄の資料などを見学し、たたらによってもたらされた生活、文化、地形などについて理解を深めた。

鉄の積出港として賑わった往時をしのばせ島根に名だたる“ダンサン”の並河邸などが軒を連ねる町並みを散策し、豪壮な造りの料亭・山常楼で昼食。参加者からも店内の雰囲気や上品な味わいが好評だった。その後、鉄の城下町として栄えた広瀬のまちに向かった。

まずは、鉄を掌握し広瀬に拠点を置いた尼子氏の月山富田城跡を歴史資料館のジオラマで理解し、実際に城跡の山中御殿を散策。勇壮な石垣から戦国期に思いを馳せた。城下町では手仕事を観て触れて体験した。

月山富田城跡

鉄を掌握し中国地方一帯に勢力を得た
尼子氏の居城だった月山富田城跡

天野紺屋での藍染体験は今回のツアーで参加者の評価がもっとも高かった。伝統工芸「広瀬絣」で使う藍で染め、できた作品はそれぞれ持ち帰った。吉田酒造は広瀬のまちに湧き出ている名水「お茶の水」を仕込み水としている。松江藩主の松平不昧公が愛した水で造る酒蔵を見て回った。

天野紺屋

天野紺屋では手ぬぐいを藍染体験。
希望者はTシャツやストールにも挑戦

参加者の大半がツアー内容に満足し、友人知人に「お勧めしたい」との回答を得た。安来市観光協会では、高岩氏のガイドがツアーの評価につながったとし、今後はガイド育成なども視野に入れる。今回の結果を踏まえて今春以降、地元の旅行会社、東出雲観光(森山雄宇社長)によって商品化する。日帰り、1泊2日で松江駅および安来駅発着のコース設定で催行。従来にはない「たたら」に特化したツアーとして定番化をはかる。

東出雲観光

東出雲観光の催行で実施

(次の記事)「出雲國たたら風土記」の旅・島根県安来市(2) 足立美術館に「魯山人館」

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